研究概要 |
本年度は,昨年度に完了した気管支喘息患者家系調査及び抽出したDNAを用いた解析を行い以下の結果を得た。 1. β2-Adrenergic Receptor(B2ADR)遺伝子多型の検討では,日本人に於ても2.1kb,2.3kbの二つのAlleleが検出された。このB2ADR遺伝子多型と,アトピー素因・Methacholine気道反応性・β2刺激薬気道反応性・気管支喘息の頻度との関連を検討した。この結果,Allele2.1kbのHomoでは,β2刺激薬による気道反応の低下と,気管支喘息発症頻度の増加が認められた。 2. アトピー遺伝子の検討では,第11染色体長腕のマーカーであるλ-MS51(D11S97)を用いた連鎖解析では有意な関連は認められなかった。しかし,Allele0.96kbを有する個体では血清IgE値の有意な増加が認められた。 これらの結果から,β-Adrenergic Receptorの遺伝子構造と気道のβ2刺激薬に対する反応性が関連し,気管支喘息発症の遺伝的背景の一つとなっている可能性があること,第11染色体長腕のアトピー遺伝子はアトピーを規定する主要遺伝子とは言い難いが,IgE産生調節に関連する遺伝子群のひとつである可能性が示唆された。
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