研究課題/領域番号 |
04454248
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
棟方 充 北海道大学, 医学部, 講師 (00209991)
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研究分担者 |
山口 悦郎 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (10201831)
川上 義和 北海道大学, 医学部, 教授 (10001877)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 気管支喘息 / 遺伝 / アトピー遺伝子 / β_2-アドレナリン受容体遺伝子 / 遺伝子多型 / 連鎖解析 / IgE / beta2-adrenergic receptor gene / Family study |
研究概要 |
本研究では、まず、4家系60名の喘息患者家族において、皮膚プリックテスト血清総IgE値・IgE(MAST)・Methacholine(Mch)及びSalbutamol(Sal)による気道反応性を測定した.アトピー素因及びMchに対する気道過敏性は、常染色体性優性遺伝に矛盾しない分布を呈し、Salに対する気道反応性は、低反応性が常染色体性劣性遺伝に矛盾しない分布を呈した.次に、β2受容体(β2ADR)遺伝子の多型に注目し、制限酵素Ban IによるRFLP(Restriction Fracment Length Polymorphysim)と気道のMch、β刺激薬(Sal)に対する反応性、気管支喘息の頻度などの検討を行った.RFLPでは、日本人に於てもAllele 2.1kb,Allele 2.3kbの二つのバンドの存在が確認された.更に、気管支喘息患者の家族では、特定のAlleleをHomoを有する個体で、気道のβ刺激薬に対する反応性が低下しており、この群で気管支喘息の発症頻度が高かった.また、一般気管支喘息患者の検討では、非アトピー性喘息患者にこのAlleleのHomozygoteが有意に多かった.これらの結果から、気道収縮反応の抑制系としてのβ2受容体遺伝子の異常が気道反応性や喘息発症に関連する可能性が示唆された.更に、末梢血白血球よりDNAを抽出し、Hopkin&Cooksonのグループと同様、第11番染色体長腕のマーカーであるDNA probe(λMS-51 or D11S97)を用いたRFLP解析を行った.アトピー素因はHopkin&Cooksonらの報告と同様、常染色体性優性遺伝に矛盾しない分布を呈した.しかし、Ban I RELPにより得られたAlleleとアトピー素因との連鎖解析の結果は、Hopkin&Cooksonとは全く異なり、有意な連鎖は認められなかった.しかし、Allele 0.96kbを有する個体では血清IgE値の有意な増加が認められた.この結果から、第11番染色体長腕(11q13)に存在すると言われるアトピー遺伝子はアトピーを規定する主要遺伝子とは言い難いが、IgE産生調節に関連する遺伝子群の一つである可能性が示唆された.
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