研究課題/領域番号 |
04454254
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
吉良 枝郎 順天堂大学, 医学部, 教授 (20095011)
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研究分担者 |
田村 尚亮 順天堂大学, 医学部, 助手 (10188435)
貫和 敏博 順天堂大学, 医学部, 助教授 (40129036)
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キーワード | ヒト・レトロウイルス / 肺胞隔炎 / 合胞体細胞 / 逆転写酵素活性 / 内在性レトロウイルス |
研究概要 |
間質性肺炎症例の気管技肺胞洗浄液(BALF)細胞とU937細胞との長期混合培養によって作成したウイルス感染細胞株培養上清を用いてウイルス遺伝子のcDNAクローニングを続けた。cDNAクローニングは細胞成分を除去した後、培養上清を超遠心してRNAを抽出して行った。その結果、LTR領域遺伝子、env領域遺伝子類似の構造を持つ約1.7kbの大きさのcDNAクローンを得た。しかし、このクローンについて最終的に全塩基配列を決定したところ、多数のstop codonを有していることが確認された。このため、得られたcDNAクローンは活性化した内在性レトロウイルスの遺伝子の一部と考えられた。このcDNAクローンの遺伝子配列は既知の内在性レトロウイルスの遺伝子配列とは異なるものであったため、新しい内在性レトロウイルス遺伝子であると推測された。この内在性レトロウイルスの活性化が本ウイルスの感染に起因するものであるか否かに関しては、今後の検討を要すると思われる。本ウイルスの感染性は当初予測したよりも低く、また感染細胞株の長期維持も予想よりも困難であった。ウイルスcDNAクローニングが成功しなかったのは、培養上清中に存在するウイルス粒子数が当初予想したよりも少ないことが影響していると考えられた。従って、何等かの培養条件の改善をはかりウイルスの感染維持・増殖を実現すると共た、培養のスケールアップが必要と考えられた。 ウイルス感染細胞株に関しての電顕的検索を行い、感染細胞表面にC型レトロウイルス様粒子が存在することが確認された。しかし、ウイルス発芽(budding)の状態は現在までの検索では観察されていない。細胞培養上清中の逆転写酵素活性に関しては、培養上清をショ糖比重遠心法によって分画し、レトロウイルス相当分画(比重1.010前後)に高い活性が存在することを確認した。
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