研究課題/領域番号 |
04454268
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
金出 英夫 九州大学, 医学部, 教授 (80038851)
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研究分担者 |
西村 淳二 九州大学, 医学部, 講師 (90237727)
小林 誠 九州大学, 医学部, 助教授 (80225515)
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キーワード | 血管平滑筋 / 細胞カルシウム濃度 / cyclic AMP / エンドセリン受容体 / 血管拡張薬 / 血管〓縮 |
研究概要 |
本研究は、分子・細胞レベルにおいて、血管系の各種細胞情報伝達系と、その相互作用を明かにすること、情報伝達系の病的変化という観点から、血管緊張の病的亢進の機序を解明し、新しい血管拡張薬を開発するための理論的基礎を作ることを目的とした。本年度は、平滑筋細胞に対するCAMPの作用について、次の結果を得た。 1.イソプロテレノールで一過性にcAMPを上昇させると、ブタ冠動脈基始部平滑筋は(Ca)iの低下を伴い弛緩した。(Ca)i低下に比べて、張力低下の程度は、K脱分極の際の(Ca)iー張力関係から予測される程度をはるかに越えるものであった。cAMPは、ヒスタミン感受性Ca貯蔵部のCaを減少させ、放出も阻害した。cAMPによる血管平滑筋弛緩の機序として、(Ca)iの低下作用に加えて、収縮蛋白のCa感受性低下も重要であろうと考えられた。 2.cAMPによるエンドセリンーA受容体(ETA受容体)制御機序を検討した。ラット大動脈初代培養平滑筋細胞に、フォルスコリンとIBMXを併用し、cAMPを上昇させた。ETA受容体mRNAの増減を、時間経過に従って、RT-PCR法により測定した。フォルスコリン・IBMXの24時間処理群のETA受容体mRNA量は、未処理コントロール群の4.2倍に増え、フラー2で測定した(Ca)i上昇の程度も8.5倍に増加した。cAMPの長時間作用によって、ラット大動脈初代培養細胞のETA受容体はupレギュレーションを受けることが明かとなった。 これら1.2の研究から、cAMPは冠動脈血管平滑筋に短時間作用すると、(Ca)i低下を伴う弛緩の関わること、培養平滑筋細胞に比較的長時間作用すると、mRNAを介して受容体数を制御し、反応性を制御することが明かとなった。
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