研究概要 |
我々の発見した新規ペプチダーゼはその後の基質探索研究によってエンドセリンのみならず脳腸管ホルモンであるセクレチンファミリーに属するグルカゴン、VIP(vasoactive intestinal peptide),それにセクレチンを分解することが判明した。なかでもグルカゴンに対する親和性が最も高いことから本酵素を当初名ずけたendothelin-degrading enzyme(EDE)からglucagon-degrading enyme(GDE)に変名した。本酵素の新規性は当初蛋白レベルのデータベースからのみ支持されていたが、懸命のcDNAクローニング操作の結果、取れたcDNAの全長は2,758bpで、内GDE翻訳領域は2,592bpであった。このなかには精製GDEのlysylendopeptidase digestionによる内部部分アミノ酸配列5種類をすべて含んでいた。アミノ酸864残基からなりその推定分子量は96.8Kdaであった。本酵素をコードする遺伝子をCOS7細胞で発現させ、培養上清での酵素活性、特異抗血清を用いたウエスタンブロット解析でGDEを確認したので、CHO細胞での大量発現を行っているところである。特異抗体の数種類作製した。これらを用いて局在を検討したところ中枢および末梢の神経細胞を染めだすことが判明した。他にも骨にも発現されているようである。緊急に詳細な検討を行う予定である。反省点としては遺伝子クローニングにほとんどの時間を取られたために微量測定系の改良とこれを用いた集検サンプルや患者血清での測定がほどんど出来なかった。近い将来この点を消化する予定である。また今後の予定では早急にマウスの遺伝子をクローニングすることが重要と考えている。ノックアウトマウスやトランスジェニックマウスを作製するのも計画している。
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