研究分担者 |
三戸 英章 自治医科大学, 医学部, 助手 (70245067)
藤川 日出行 自治医科大学, 医学部, 助手 (00238544)
小口 朝彦 自治医科大学, 医学部, 助手 (10233488)
長谷川 秀実 自治医科大学, 医学部, 助手 (60208494)
池田 宇一 自治医科大学, 医学部, 助教授 (30221063)
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研究概要 |
【目的】NO合成阻害物質を加えることによりNOの合成を持続的に抑制し,それがいかに血管内皮細胞表面アンチトロンビンIII親和性ヘパラン硫酸プロテオグリカン産生に影響を与えるか検討した。さらにそのメカニズムについても検討した。【方法】培養豚大動脈内皮細胞に(1)時間および(2)濃度依存的にNO合成阻害物質L-NA,L-NAMEを加え細胞表面に対する^<1251>標識ATIII結合の差異を検討した。さらに(3)細胞表面グリコサミノグリカン量を^<35>S硫酸で標識定量し,対照細胞と比較した。また(4)L-NAME投与下における細胞内フリーラジカルスカベンジャーの効果を検討した。(5)さらにL-NAMEを血管内皮細胞に投与した際におこるNO合成阻害による酸素ストレスの増加を評価する目的に,細胞内にとりこまれ,hydroperoxideなどにより酸化されて蛍光物質となるdichlorofluorescin diacetate(DCFH)を,一定時間内皮に負荷し,L-NAME投与前後で透過光線像と蛍光像を交互に撮像することにより,NO合成の抑制による血管内皮細胞の酸素ストレスの状態を観察した。【結果】アンチトロンビンIII結合実験では(1)時間、(2)濃度依存的に低下したが,(3)すべての^<35>S標識グリコサミノグリカン量では数%以上の低下はなかった.そして(4)これらは細胞内フリーラジカルスカベンジャーにより抑制される傾向があった。また(5)NOの阻害により,血管内皮細胞のhydroperoxide産生が高まることが観察された。【総括】NOの合成を持続的に抑制することは,細胞表面総グリコサミノグリカン量には影響を与えず、選択的にアンチトロンビンIII親和性ヘパリン様物質量を減少させた。この作用にはNOの合成阻害による細胞内フリーラジカル産生の増加が関与していると考えられた。
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