電位依存性K^+チャネルは膜電位の維持および活動電 位保持に重要な役割を演じる。私達は心筋で発現量の多いKV1.5(遅延整流型)、KV1.4(一過性外向き)遺伝子の発現調節に焦点を当て研究をすすめ以下の所見を得た。 1.KV1.5遺伝子の発現調節 KV1.5遺伝子を含むクローンの単離に成功しプロモーター解析を行った。KV1.5遺伝子はイントロを含まず単一エクソンとして存在した。上流域にはCAMP応答配列(CRE)が存在し心筋細胞を用い細胞内CAMP上昇はKV1.5mRNA量を増加させることを見出した。この反応はCREを介し転写レベルで働いていた。 2.KV1.4遺伝子の発現調節 心筋細胞を用いてKV1.4mRNAの発現調節を検討した。TPAおよびBAY8644はKV1.4mRNA量を有意に増加させ特異的阻害剤によりこの増加は阻止された。 3心筋肥大での発現調節 肥大心では活動電位第3相が著明に延長することが報告されている。私達は腎血管性高血圧および自然発症高血圧ラットの肥大心を用いてKV1.5とKV1.4mRNAの発現を検討した。。肥大心ではKV1.5mRNAは著明に減少し、一方KV1.4mRNAは約2倍増加していた。このように心筋の代表的K^+チャネルであるKV1.4とKV1.5は同 じShakerfamilyに属するがその発現調節は全く異なっていた。病態心ではK^+チャネル重合体の構成が変化することが予想され異常興奮電流 の発生も予想された。
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