研究課題/領域番号 |
04454276
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
別所 文雄 東京大学, 医学部(病), 助教授 (40010285)
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研究分担者 |
小林 美由紀 東京大学, 医学部(病), 助手 (60205391)
平井 久丸 東京大学, 医学部(病), 講師 (90181130)
林 泰秀 東京大学, 医学部(病), 講師 (30238133)
鴨下 重彦 東京大学, 医学部(病), 教授 (60048973)
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キーワード | 小児固型腫瘍 / 小児白血病 / がん発生体質 / P53遺伝子 / t(li19) / 神経芽腫 / ユーイング肉腫 / 細胞株 |
研究概要 |
小児固型腫瘍と白血におけるP53遺伝子の変異について検索し、以下の結果を得た。 1.固型腫瘍 神経芽腫6株、横紋筋肉腫2株、悪性間葉腫1株、新鮮神経芽腫組織18例ではP53遺伝子の変異は認められなかった。ユーイング肉腫5株のうち4株で変異を認めた。この変異は、1株でコドン141(TGC→TAC)、2株でコドン176(TGC→TTC)、1株でコドン283(CGC→CG)にみられた。これに対して9例の新鮮組織では1例からのもののみに変異を認めた。ウィルムス腫瘍では、3株のうち1株でコドン213(CGA→TGA)に変異を認めたが、これは16歳の患者に発生した非定型的な腫瘍から得られた細胞株であった。 以上のごとく、調べ得た範囲では、P53の変異はユーイング肉腫とウイルムス腫瘍にのみ認められたが、大多数は細胞株にみられたものであり、小児固型腫瘍ではP53の変異はその発生に関与するところは少ないものと考えられた。 2.白血病 (li19)転座を有する小児ALL初発16例、再発3例、細胞株3例の計22例についてP53の変異を検索したところ、初発2例、再発および細胞株の全例にこれを認めた。初発時と再発時とに検索を行い得た例のうち、1例では初発時と再発時とに同一の変異を認めた。他の例では再発時にのみ変異を認めたが、この例では初発時に細胞株が樹立されており、この細胞株にも同一の変異が認められた。後者は、検出限界以下の数初発時に存在した少数のクローンが再発に関与した可能性を示唆しており、再発の機序を考える上で興味深く思われた。
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