研究課題/領域番号 |
04454276
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
別所 文雄 東京大学, 医学部(病), 助教授 (40010285)
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研究分担者 |
平井 久丸 東京大学, 医学部(病), 講師 (90181130)
鴨下 重彦 東京大学, 医学部(病), 教授 (60048973)
林 泰秀 東京大学, 医学部(病), 講師 (30238133)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | がんの高危険体質 / 腫瘍抑制遺伝子 / p53遺伝子 / p16遺伝子 / p15遺伝子 / がんの疫学 / がんの集積 / 小児がん |
研究概要 |
平成4年度以来3年間にわたって、小児期に頻度が高く、また特有と考えられる数種の悪性腫瘍について、種々のがん抑制遺伝子についての検索を行って来た。現在までに検索した遺伝子は、p53およびp16遺伝子、Rb遺伝子、DDCおよにDAN遺伝子である。小児悪性腫瘍の頻度が低いことに鑑み、新鮮腫瘍のみでなく、それぞれの腫瘍の細胞株についての検索をあわせ行ってきた。これらの結果から明らかになったことは、一般にこれらの遺伝子は細胞株および進展例の新鮮腫瘍での異常の頻度が高く、発癌過程ないしはその進展に関わっていると思われること、p53などのようにPNETでは異常の頻度が高率であるが、神経芽腫では進展例、細胞株共に異常の頻度が低いなど、同一系統の腫瘍間でもその異常の頻度に差があることなどが明らかになった。また、小児悪性新生物全国登録に蓄積されているデータから、高危険体質の遺伝が疑われる家系の洗い出しとそこからの試料の収集も行ってきているが、これについては手続き等の問題があること、過去のデータであることなどから資料の収集は十分ではなく、現時点では家族集積性の調査の段階にある部分が多く、今後も引き続き資料収集の努力が必要である。登録例の中の1例に、悪性リンパ腫が兄弟3例に発生した家族があり、この例についてp53遺伝子の解析を行ったが、異常は見いだされなかった。また、11歳の男児に肺の腺癌が発生した例があり、、この例についてもp53遺伝子の異常を検索したがやはり異常は検出できなかった。また、本研究の一部として、小児悪性新生物全国登録の内、関東甲信越地区登録のデータにより、家族集積性の調査を行い、(1)がん患児の家族に見られるがんの種類は、一般人口のそれに比べて偏りがあること、(2)がん患児の両親には一般人口に比べて脳腫瘍の発生が有意に多いことなどの結果を得た。今後、これらの点についてより詳細な調査の必要性が示唆された。
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