小児期における再生不良性貧血、白血病、骨髄移植などでみられる血小板減少に対する有効な造血因子療法の開発をめざして、基礎的ならびに臨床的研究を行ってきた。 1.基礎的研究:マウスおよびヒトの系において、IL-3、IL-6、IL-11、G-CSF、GM-CSF、M-CSF、エリスロポエチン(EPO)、stem cell factor(SCF)の巨核球造血作用につき検討した。 (1)マウスの系において、IL-6とIL-11の巨核球造血作用は、IL-3添加によって増強された。 (2)ヒトの系では、SCF、IL-6、IL-11はそれぞれ単独では巨核球コロニー形成増強作用がなく、SCF+IL-6およびSCF+IL-11にはその作用が存在した。また、SCFとIL-6はIL-3存在下で巨核球造血作用を示した。この成績は、CD34^+細胞を用いた実験系においても確認された。 (3)SCFは、幼若な巨核球前駆細胞の増殖を刺激するが巨核球成熟作用を欠くために、巨核球成熟作用を有するIL-6やIL-11などと組合わせたカクテル療法が有効と思われる。 (4)再生不良性貧血の中に、IL-3、IL-6、IL-11、GM-CSF、M-CSF、EPOなどの効果が認められるものがあった。 2.臨床的研究:いくつかの疾患においてG-CSF、GM-CSF、M-CSF、エリスロポエチン(EPO)の効果を検討した。 (1)再生不良性貧血の中にG-CSF、G-CSF+GM-CSF、G-CSF+EPO療法の有効例があった。 (2)EPOの血小板増加効果は、未熟児貧血におけるEPO療法によっても確認できた。
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