研究課題/領域番号 |
04454278
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
千葉 峻三 札幌医科大学, 医学部・小児科, 教授 (50045374)
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研究分担者 |
足立 憲昭 札幌医科大学, 医学部・小児科, 助手 (80244341)
中田 修二 札幌医科大学, 医学部・小児科, 講師 (70155745)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | ノルウオ-クウイルス / 食中毒様急性胃腸炎 / ELISA法 / Dot Blot Hybridization / RT-PCR法 / 乳幼児胃腸炎 / 血清疫学 / 日本と東南アジア |
研究概要 |
ノルウオ-クウイルス(NV)は主に成人に食中毒様の急性胃腸炎を引き起こす主要要因ウイルスである。近年米国においてNVのgene cloningが成功し、様々な研究法が開発された。本研究では、ELISA法、Dot Blot Hybridization法によるNV検出法を確立し、また既に確立されていたPT-PCR法も併用して以下の検討を行った。 NVと他の小球型ウイルスとの遺伝子学的関連性を検討した結果、ELISA法ではヒトカリシウイルス、ネコカリシウイルス、音更因子関連ウイルスとの関連はみられなかった。Dot法ではRNA polymeraseを含んだprobe、5'-側のprobeを用いるとヒトカリシの一部の株、音更因子関連ウイルスが陽性となり、なんらかの関連性が示唆された。今後、塩基配列の決定を行いNVとの比較検討が必要である。 日本の乳幼児期の急性胃腸炎に対するNVの関与をELISA法とDot法で検討したが、NV検出率は非常に低率であった。この結果は、年齢別のNV抗体保有率が7才未満では約10%と低いことと相関しており、日本において乳幼児期の胃腸炎ではNVの関与は低いことが示唆された。また血清疫学的検討の結果、日本ではNVは普遍的な感染因子であるが、乳幼児期ではその関与は低く、NVの感染は学童期から始まり成人期でも感染を繰り返していることが示唆された。日本、東南アジアにおいてはNV感染症が普遍的であると考えられた。 学童期から成人にみられた急性胃腸炎の集団発生18事例に対するNVの関与について検討した。3事例はNVによる急性胃腸炎といえるが、ELISA法のみで検索し陰性と判定された15事例をより感度の高いRT-PCR法で検討し直す必要がある。NVのprototypeとは異なるNV関連ウイルスを検出するためには、感度が高いRT-PCR法やDot法が適当と思われるが、塩基配列の解析を考慮すると前者が最適と思われる。
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