研究課題/領域番号 |
04454279
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
松井 陽 自治医科大学, 医学部, 助教授 (00159146)
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研究分担者 |
荒川 洋一 自治医科大学, 医学部, 講師 (00175184)
佐々木 暢彦 自治医科大学, 医学部, 講師 (40225884)
田中 利典 自治医科大学, 医学部, 講師 (30146154)
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キーワード | 胆道閉鎖症 / レオ3型ウイルス |
研究概要 |
胆道閉鎖症は原因不明の炎症性胆管閉塞のために、胆汁の流出が障害される極めて難治性の肝疾患である。一方、離乳直後のマウスにレオ3型ウイルスを接種すると、ヒト本症と類似の肝外胆管閉塞を来すことが知られている。そこで私どもはヒト胆道閉鎖症におけるレオ3型ウイルス感染の関与について検討してきた。 私どもはまず免疫組織化学により、胆道閉鎖症患児23例全例の肝細胞または胆管上皮細胞の細胞質に、このウイルスに対するポリクローナル抗体と反応する抗原があることを見いだした。これに対し同年齢の、肝疾患のないコントロール5例にはこの蛋白を認めなかった。同じ抗体を用いて免疫電顕を行ったところ、この抗原はライソゾームに限局していることがわかった。次に肝組織から全RNAを抽出して逆転写酵素によりDNAとし、レオ3型ウイルスの持つ10分節のうちのM1をPCR法により増幅した。この結果、M1に相当するバンドを5例全例に認め、そのシークエンスが既知のM1のそれと一致することを確認した。しかし肝疾患ではない同年齢対照児にもM1が検出されたことから、この方法では肝細胞でのレオ3型ウイルス感染の有無を結論できないことがわかった。 一方、阪大小児科の尾崎らとの共同研究から、胆道閉鎖症患児の血清中には、抗レオ3型ウイルスIgM抗体が上昇していることが示唆された。以上から、胆道閉鎖症の患児ではレオ3型ウイルスが肝細胞で増殖してウイルス蛋白を作ったのに対し、対照児ではこの感染が成立しなかったものと我々は考える。これを裏付けるために、今後はモノクローナル抗体による免疫組織化学およびin situ hybridizationを行う予定である。
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