研究課題/領域番号 |
04454283
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
麦島 秀雄 日本大学, 医学部, 講師 (80183648)
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研究分担者 |
鈴木 孝 日本大学, 医学部, 助手
藤沢 孝人 日本大学, 医学部, 助手 (90256842)
鎌田 力三郎 日本大学, 医学部, 教授 (00058835)
岩田 光正 日本大学, 医学部, 講師 (60160123)
岡部 郁夫 日本大学, 医学部, 助教授 (20059017)
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キーワード | 進行性神経芽腫 / 自家骨髄移植 / 再発因子 / 13-cis RA / trk癌遺伝子 / low affinity NGF receptor |
研究概要 |
(I)1993年10月現在までに、StageIV神経芽腫の36例の移植後追跡期間は4〜87か月でEFS率は66.3%でN-myc増幅例と非増幅例、骨転移例と非転移例、TBI施工例と未施工例についてそれぞれEFS率を比較したがいずれも有意差は見られなかった。再発時期は移植後12か月前後で再発部位は骨、骨髄が多かった。また50%はPR時の移植例で全例に生着が見られたが特異な合併症としてHUSが5例に見られこの原因としてTBIの関与が強く示唆された。局所照射は原発巣の再発防止に有効と思われた。再発に関する要因として【.encircled1.】前処置に併用したTBIの有無【.encircled2.】N-myc増幅の有無【.encircled3.】骨転移の有無についてCOXの比例ハザードモデルを用いて多変量解析した結果TBIの寄与が最も大きかった。(beta=-168,P=0.039)今後はStageIVでN-myc増幅例、骨転移例を中心に初期化学療法及び移植前処置の化学療法を同一にし、TBIの有効性をPBSCT群とA-BMT群で比較検討する必要があると思われた。 (II)A-BMTを施工したStageIV神経芽腫11例を対象にその残存腫瘍の再発防止を目的に13-cis-RAを100mg/m^2/day(分2)連日経口投与を行いその血中動態と副作用について検討した。13-cis-RAの血中濃度測定はHPLC法を用いた。13-cis-RAは投与量に比例して上昇し内服後2〜6時間後(平均4時間)にピークが見られたがいずれも24時間後にはほとんど検出されなかった。また腎障害を伴った症例では有意なピークの上昇が認められた。副作用は全例に軽度の粘膜障害、ALP、及びTGの上昇が見られ、その他GOT,GPT,Ca、コレステロールが増加し、特に腎障害を有した2症例で副作用が著明に見られた。13-cis-RA(100mg/m^2/day)の12時間毎の経口投与はA-BMT後でも骨髄抑制は見られず、一部の症例を除いては副作用も軽度であり腎障害がなければ投与可能であった。 (III)trk癌遺伝子の発現を調べたものと同一検体よりDNAを抽出してSouthern Blottingを行いDNAレベルでの異常を検索したがこの遺伝子の増幅、欠失、再配列などの異常は認められなかった。また同様の方法でlow affinity NGF receptorについてもDNAレベルでの異常の有無を検索したが異常は認められなかった。trk癌遺伝子及びlow affinity NGF receptorの発現異常は遺伝子の増幅、欠失、再配列などの遺伝子の比較的大きな変かに基づくものではない事が判明した。
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