研究課題/領域番号 |
04454284
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
高嶋 幸男 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第2部, 部長 (70038743)
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研究分担者 |
小野寺 一清 国立精神, 神経センター・神経研究所・疾病研究第2部, 研究員
許斐 博史 国立精神, 神経センター・神経研究所・疾病研究第2部, 研究員 (00186719)
西田 朗 国立精神, 神経センター・神経研究所・疾病研究第2部, 研究員
水戸 敬 国立精神, 神経センター・神経研究所・疾病研究第2部, 研究員 (00166068)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | 新生児 / 脳障害 / 神経細胞壊死 / フェリチン / 水頭症 / 脳室周囲白質軟化 / 乳幼児突然死症候群 / ペルオキシソーム |
研究概要 |
1.周産期脳組織バンキングシステムの確立。周産期脳バンキングシステムは2小児病院、5公立病院および1私立病院の協力により,症例は順調に集積されるようになつた。これらを共同利用し、次の共同研究を行った。 2.周産期脳の生化学的、分子生物学的ならびに免疫組織化学的研究。胎児から小児までヒト脳の発達を生化学的、分子生物学的ならびに免疫組織化学的に観察し、そして異常な発達の発生機序を検討した。フェリチンの発達を大脳、橋および小脳で検討し、年齢とともにオリゴデンドログリアが部位特異的に増加し、髄鞘形成と関連して増加していた。早期産児の脳室内出血に伴う小脳クモ膜下出血では、分子層にフェリチン陽性ミクログリアが早期に増加し、プルキンエ細胞が脱落し、経シナプシス的に下オリーブ核の神経細胞脱落をきたしていた。さらに、脳室内出血では、血液成分がフェリチン陽性のミクログリアを誘発し、脳室壁にアストログリオーシスを促し、出血後水頭症の原因となっていた。大脳白質でも正常発達ではオリゴデンドログリアが髄鞘形成直前に増加し、白質軟化形成の素因となり、また、広範な脳室周囲白質軟化では、フェリチン陽性オリゴデンドログリアが広く減少しており、髄鞘形成不全の原因となると考えられた。先天性水頭症の原因となる中脳水道挟窄やArnold-Chiari奇形の脳幹における小形成異常について、免疫組織化学的に検討し、前者の中脳水道周囲にはアストログリオーシスおよびサブスタンスPの増加、チロシン水酸化酵素およびミエリン塩基性蛋白の減少が種々の程度にみられた。しかし、Arnold-Chiari奇形にはいずれも低下の傾向があり、両者の異常発達の差を反映してた。睡眠時無呼吸や突然死の機序を脳幹小脳異常ならびに新生児突然死症候群例で追求した。睡眠時無呼吸や突然死を来した脳幹あるいは小脳梗塞例についてチロシン水酸化酵素やサブスタンスPを免疫組織化学的に染色し、延髄・橋被蓋部に異常な分布が認められた。また、新生児突然死症候群では大脳に白質軟化が多く、GFAP陽性アストロサイトの増加があり、出生前に虚血の負荷があったと推測された。その他、ペルオキシゾームの関連酵素である2頭酵素の発現の発達と神経細胞成熟や髄鞘形成との関連、後根神経節と中枢神経の神経特異エノラーゼとHNK-1発現と末梢臓器の発達との関係、脳軟膜内神経グリアヘテロトピア(LGH)の発生時期と発達を検討した。
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