研究概要 |
上皮内γδT細胞の代表であるdendritic epidermal T cell(DETC)のγδT cell receptor(TCR)の解析およびリガンドの同定の目的で以下の実験を行った。DETCはマウスの表皮より調整した。前年度の成果よりDETCはPPDに反応することがわかったので、今回はheat shock protein(HSP)-65のTCRに対する結合性および反応性について検討した。HSP-65は直接的にはTCRに結合せず、またDETCを活性化(増殖、IL-2産生)しなかった。そこでテキサス大学高島博士より供与されたDETCの細胞株7-17を用いて同様の実験を行ったが、やはりHSP-65に対する反応性は認められなかった。 次にDETCのTCRを詳細に解析する目的で、TCRζ鎖欠損マウスを用いてTCRの表現をFACSにより検討した。DETCはζ鎖欠損マウスでも正常マウスと同数存在しTCRの発現量も同程度認められた。これはDETCはζ鎖以外のシグナル伝達分子をもつことを示唆している。腸管のintraepithelial lymphocyte(IEL),子宮のIELに関しても同様の検討を行ったが、双方のIELともζ鎖欠損マウスでも正常マウスと同等にTCRの発現が認められた。IELに関しては免疫沈降法を用いて検討したところζ鎖のかわりにFcεR1γ鎖を用いていることがわかった。上皮内γδT細胞ではTCRを介する刺激が伝達されにくいとする報告があるが、この事実に基ずく可能性がある。今後DETCにおいても同様の検討をしていきたい。
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