研究概要 |
平成4年度、5年度にひきつづき、γδT細胞の代表として樹枝状表皮T細胞(DETC)を用いて、T細胞レセプター(TCR)の構造およびそのリガンドを検索する目的で以下の知見を得た。 1 DETCのTCRはαβT細胞のTCRと異なり、ζ鎖ではなくFc ε R γ(Fc γ)鎖をシグナル伝達分子として用いている可能性を、ζ鎖欠損マウスを用いた解析で明らかにした。そこで今回はDETCの細胞株(7-17)を用いてimmunoprecipitation法にて生化学的に検討した。予想どうり、DETCはFc γ 鎖を主体として用いていることが明かとなった。今後シグナル伝達の詳細なメカニスムや機能について研究していく予定である。 2 DETC は、 in vitro で PPD に対する反応性を弱いながらも有していた。そこで、各種heat shock protein(HSP)のDETCに対する結合性をHSPに対する抗体を用いて検討したが、その結合性は認められなかった。次にDETCのHSPに対する反応性を検討したが、これも認められなかった。 3 DETCの各種サイトカインに対する反応性および免疫抑制剤の効果をわれわれの樹立した細胞株(8.27SD,10.31)を用いて検討した。DETCはIL-2およびIL-4には反応し増殖したが、IL-7には反応せず、その他のケラチノサイト由来のサイトカインにも反応しなかった。またサイクロスポリンでは抑制されたが、FK506では抑制されなかった。これはDETCの機能的な特徴として注目される。
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