我々はこれまでの実験において種々のタイプの表皮内T細胞を樹立してきた。CD4^+自己反応性T細胞クローンを同系マウス足蹠へ移入することによりそれらは表皮を攻撃しGvH病様病変をおこすが、その病変は速やかに回復し以後その部分の表皮は同様の自己反応性T細胞による攻撃に対して抵抗性となる。その抵抗性となった表皮には表皮内T細胞が30倍以上に増加しており、この細胞が表皮抵抗性に関与していると考えられた。この細胞が表皮構築破壊後の表皮に集積する機序を明らかにするためにこの細胞をin vitroでIL-2とともに培養することによりexpandし、その表面形質、機能、細胞接着分子の発現などの検討を行った。表面形質はCD3^+、TCR-αβ^+、CD8^+でありLFA-1、LFA-3などの発現を認めた。NK様の細胞傷害活性は示さなかったが、抗CD3抗体やレクチンの存在下で様々な腫瘍細胞に対して細胞傷害活性を示した。しかしfreshにisolateした表皮内T細胞は、抗CD3抗体の存在下ですら細胞傷害活性は示さなかった。この細胞が表皮細胞のどのような抗原を認識しているかを明らかにするために種々の表皮細胞、HSPなどを用いてproliferation assayを行ったが、どの抗原刺激に対しても有意の増殖活性を示さず、現在この細胞が認識する抗原については不明である。そこでこの細胞がどのようなTCRを用いているかを明らかにするためfreshにisolateされた表皮内T細胞を用いて種々のモノクローナル抗体により検討した。用いた抗体は限られたものであったがある程度heterogeneityが認められた。現在このT細胞からRNAを抽出し、逆転写酵素によりcDNAを合成しPCR法によりこれらを増幅しTCRusageの検討を行っているところである。
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