研究課題/領域番号 |
04454289
|
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
橋本 隆 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20129597)
|
研究分担者 |
工藤 純 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80178003)
清水 信義 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50162706)
海老原 全 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90203653)
西川 武二 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50051579)
|
キーワード | 天疱瘡 / 自己抗原 / 遺伝子工学 / デスモソーム / デスモグレイン / デスモコリン / 尋常性天疱瘡抗原 / 細胞接着 |
研究概要 |
現在までに尋常性天疱瘡(PV)の抗原は130kD PV抗原であり、落葉状天疱瘡(PF)の抗原はデスモソーム膜蛋白デスモグレイン(DG)であることが示されている。私共は一部の天疱瘡血清がもう一つのデスモソーム膜蛋白デスモコリン(DC)I/IIと反応することを報告した。現在これらの分子はすべてカドヘリン群に属する細胞接着分子であることが判明している。私共はまずヒト表皮抽出液ないしウシ鼻デスモソームを用いた免疫ブロット法により多くの天疱瘡血清がPV抗原、DG、DCI/IIに反応することを確認した。次いで、ウシDCI/II cDNAを適当な制限酵素を用いてpUC18ないしpGEX-3Xに組み込み、全長DCI/IIリコンビナント蛋白を発現させた。この蛋白を用いた免疫ブロット法ないしELISA法による検索で、この蛋白に一部の天疱瘡血清(特にブラジルPF、IgA天疱瘡)が反応したことよりDCI/IIが天疱瘡抗原となりうることを示した。さらに全長ウシDG cDNAから特異的なプライマーを用いたPCR法により部位特異的cDNA断片を得た。これらをさらにpGEX-2Tに組み込み、それぞれの部位特異的リコンビナント蛋白を発現させた。これらの蛋白を用いた免疫ブロット法およびELESA法により各種天疱瘡血清の反応性を検討したところ、多くのPFとブラジルPF血清がDGの主として細胞外EC1-2部位に反応すること、EC3-4部位は免疫原性が低いこと、一部のPV血清もDGと反応するが、その反応は細胞内部位に対するものであることが判明した。これらは天疱瘡の病変形成および自己抗体産生の機序を知る上で重要な事実である。さらに私共は、同様にヒトPV抗原cDNAを用いたPCR法により作成した部位特異的断片を組み込んだpUEXクローンを得た。今後これらのcDNAクローンから得た複合蛋白に対する天疱瘡血清の反応を検索し、DGに対する反応と比較することは、PVとPFの臨床症状の相違を解明することに大きな手がかりとなると思われる。
|