研究課題/領域番号 |
04454296
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407)
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研究分担者 |
増永 慎一郎 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (80238914)
赤星 光彦 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (00027418)
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キーワード | Gd-NCT / BNCT / SCCVII腫瘍 / GdDTPA / BPA |
研究概要 |
BNCTでは放出される粒子の飛程が腫瘍細胞サイズとほぼ同じある。従って硼素が到達しなかった腫瘍細胞は破壊されずに生き残る、そこで、その限界を打破する目的Gd-DTPAを用いた熱中性子捕捉療法の基礎研究を固形腫瘍を用いて行った。培養SCCVII細胞(マウス扁平上皮癌)5万個をC3Hマウスに移植し直径10mmに達した時Gd-NCTを行い、効果をコロニー形成法とマイクロヌクレウス法で検索した。まず、GdDTPA投与と熱中性子照射の最適時間間隔をマイクロヌクレウス頻度の時間変化から調べると、GdDTPAの排泄が速やかであるためか静注後2-3分に効果のピークがあった。^<157>Gd-DTPAの0.6μmole/g(マウス体重)投与時の効果をコロニー法で調べると、^<10>BPA750mg/gマウス体重投与時(腫瘍内平均^<10>B濃度=0.9μmole/g)の効果とほぼ等しかった。我々が予想したよりもGd-DTPAの排泄が速やかで、臨床応用を考えると腫瘍への集積性と薬物動態を修飾する工夫が不可欠と考えられた。我々が別に行った研究によると、線量・細胞生存率曲線のα値は照射後の初回細胞(核)分裂の異常として検出できる。Gd-NCT、BNCTでは細胞生存率(SF)はα値にみで記述できる。Gd-NCTでは細胞生存率曲線の傾きと初回正常核分裂細胞率(NNDF)曲線の傾きは正確に一致した(-lnSF=0.131・T(m)vs.-lnNNDF=0.137・T(m))。一方、BPAを用いたBNCTでは両曲線に有意な解離が認められ、BPAが取り込まれなかった腫瘍細胞分画の存在が明らかになった。この点では、Gd-NCTが優れていると結論された。
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