研究概要 |
1.昨年度までに検討してきたPCR法を用いたG蛋白αサブユニット各サブタイプ(Gs,Gi-1,Gi-2,Gi-3,Go)別mRNA測定法の定量システムに改良を加え、ビオチンラベルしたPCRプライマーを用いて増幅したcDNAをストレプトアビジン-アルカリフォスファターゼ複合体と反応させ基質を加えて発色させたものをマイクロプレートリーダーで比色定量する方法を確立した。測定に用いる単核白血球数、PCRの条件、定量システムの条件などに関して基礎的検討を加え、PCRサイクル数を25サイクル程度にすることによりサンプルのG蛋白mRNA量が測定結果に反映されることを確認した。これにより、ヒト単核白血球内のG蛋白mRNA量を定量化することが可能となった。 2.ハミルトンうつ病評価尺度において18点以上を示した未服薬のうつ病患者を対象として、その単核白血球のmRNAをcDNAに変換し上記の比色定量法を用いてG蛋白αサブユニット各サブタイプ別に定量を行った。実験に関して説明し同意の得られたうつ病患者15例と正常対照群15例の比較を行ったが、両群間のG蛋白αサブユニット各サブタイプの比率に有意な差はなかった。 3.疾患特異性の検討を目的として、並行して他の精神障害患者(精神分裂病、強迫性障害、パニック性障害)でも同様の測定を数例行ったが、特異的な結果は得られなかった。
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