研究課題/領域番号 |
04454301
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 光源 東北大学, 医学部, 教授 (70033321)
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研究分担者 |
大沢 真理子 東北大学, 医学部・附属病院, 医員
沼知 陽太郎 東北大学, 医学部・附属病院, 助手
猪ノ坂 孝雄 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (60241618)
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キーワード | キンドリング / 苔状線維 / 細胞脱落 / けいれん準備性 |
研究概要 |
てんかんの難治化に関わる神経機序を解明するため昨年度、発作の二次性全般全般化を繰り返すことで難治化することを示し、そのけいれん準備性の形態学的変化とみなされる海馬歯状回における苔状繊維の発芽の程度をTimm染色法を用いて左扁桃核キンドリング4群(発作をStage3で止めたF-S3群、Stage5を1回で止めたF-S5群、Stage5を10回繰り返した10-S5群、Stage5を30回繰り返した30-S5群)にて比較検討した。その結果、Stage5の反復により発芽は増加する傾向が見られた。しかし、コントロールとして作成された無効刺激群においても発芽が見られ、このことから海馬歯状回苔状繊維の発芽はてんかん原生の形成過程とは無関係であり、またその難治化とも相関しないことが示された。 今年度は前年度の結果に基づき、発芽の程度をスコア化し定量した。また海馬硬化の所見である海馬の細胞脱落を歯状回多形細胞層にて測定し、発芽状況とその程度を比較検討した。その結果、細胞脱落は発芽現象に先行して生じていることが観察された。しかし全身けいれんを繰り返すこととその程度には明らかな相関は見られなかった。 また今回新たにペンチレンテトラゾールを用いた特発全般けいれんモデルを、その発芽現象と細胞脱落について、部分てんかんの二次性全般化モデルであるキンドリング群と比較する目的にて作成した。その結果全身けいれんを生じなかったコントロール群との比較において、発芽の程度と細胞脱落に有意差はなく、これが特発全般てんかんの予後が良好であることと何らかの関連がある可能性がある事が示唆された。 以上過去2年間の研究から1)海馬歯状回苔状繊維の発芽現象はてんかん現象と関連がない事、2)細胞脱落は発芽現象に先行して生じている事を明らかにした。
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