びまん性Lewy小体病(DLBD)は、筆者らが提唱して以来、国際的に注目され、多くの報告がなされている。そこで、まず今までに報告されている日本人例44例と欧米人例67例を、通常型と純粋型に分け、臨床・病理学的に比較検討し、その結果をドイツ精神医学会150周年記念シンポジウムで発表した。両群の最大の相違点は、日本人例の純粋型は40歳以下の若年発症が多いのに反して、欧米人例では60歳以降の発病がほとんどで若年発症例がないことである。これについては、改めて論文報告する予定である。 さらに、DLBDでは老人斑(SP)や神経原線維変化(NFT)が出現しやすく、特に通常型ではAlzheimer型痴呆(ATD)の所見を合併している症例もあるので、若年発症のDLBD2例と高年発症のDLBD6例、さらに高年発症の移行型Lewy小体病(LBD)6例を対象として、SPとNFTの病変分布と密度を詳細に検討した。 SPは、高齢のDLBDと移行型LBDとではその分布と密度に若干の差がみられ、ことに海馬支脚ではDLBD例でSPの密度が高いという結果が得られた。これを40歳以上の非痴呆例100例とATD13例と比較すると、DLBDの4例と移行型LBD4例ではATDに相当するSPの出現状況を示していた。一方、NFTについては、高年発症のDLBDの3例ではATDの出現状況と一致し、他の高年発症3例と若年発症2例でも量的には少ないものの出現部位は類似していた。 これらの点をさらに症例数を増やして現在検討中である。一方、ユビキチンや種々のタウ抗体を使用して、現在DLBDとATDの種々の老人性変化について比較検討中である。DLBDとATDの臨床像も比較検討中である。
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