研究概要 |
びまん性Lewy小体病(DLBD)は、筆者らが提唱し、国際的に認められた変性性痴呆疾患である。今年度は、まず一老人病院での過去2年間の痴呆老人連続剖検例の病理学的検索により、DLBDがAlzheimer型痴呆(ATD)に次いで二番目に多い変性性痴呆疾患であることを明らかにし、これは最近のイギリスとアメリカでの報告と一致する所見である。これについては現在論文投稿中である。 次いで、DLBDの通常型と純粋型の臨床像と病理像の特徴とDLBDを含むLewy小体病の痴呆の責任病巣について英文論文で報告した。また、昨年度に研究したDLBDとATDの老人斑および神経原線維変化の病変分布と密度について論文報告し、さらに症例を増やした結果を、現在英文論文として投稿中である。 さらに、DLBDの2剖検例を報告し、そのMRI像を示すとともに、この2例を含む最近の4剖検例について、その臨床像の特徴に焦点を当てた論文を投稿中である。今年度の研究により、脳幹・間脳の病変がごく軽微でパーキンソニズムを示さず進行性痴呆を主症状とする症例があることを見出し、これを「cerebral type of Lewy body disease」として今度の国際神経病理学会で報告する予定である。 また、今年度はDLBDの扁桃核病変に注目し、扁桃核におけるLewy小体,ユビキチン陽性突起様および顆粒状構造物、老人斑、神経原線維変化の詳細な分布を検索し、ATDと比較研究したが、その結果を今年の神経病理学会に報告する。それとともに、DLBDの大脳基底核には抗tau-2抗体陽性のミクログラリアが出現することが今年度の研究で明らかになり、ATDその他の疾患での出現状況を検討し、その結果を今年の神経病理学会で報告する予定である。
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