研究概要 |
びまん性レビ-小体病(DLBD)とアルツハイマー型痴呆(ATD)の鑑別が最近問題となっており、その点に研究の焦点を向けた。1)DLBDは、通常型と純粋型に分類され、日本人例では高齢者例のほとんどが通常型であり、純粋型の多くが若年例であるのに反して、欧米例では両者ともほとんど高齢者例であり、若年例はまれであることが示された。2)DLBDはATDと臨床的にも病理学的にも鑑別可能であり、DLBDをATDの一亜型とする見解は否定された。3)今回の研究で発見されたubiquitin-positive thread-like structures(UPT)とintraglial tau_2-positive structures(ITS)はDLBDに特異的な変化であることを明らかにした。4)UPTはtau-,NFT-,beta protein-immunonegativeであり、ATDでみられるneuropil threadとは区別でき、海馬CA_<2-3>の他、扁桃核・海馬傍回.マイネルト基底核・視床下部などにも出現することを明らかにした。このUPTは線維状〜数珠状のものと棍棒状のものの2種類があり、前者はdistal axon、後者はproximal axon由来であること、後者と脳幹型Lewy小体との関連が示唆された。5)ITSは、被殻に最も多く、視床下部・黒質などにも認められた。しかも、ITS含有細胞は免疫組織化学的にミクログリアであることが示唆された。6)剖検脳の生化学的研究により、DLBDではATDに比して、セロトニン・ノルアドレナリン系の減少が顕著であり、ドパミン系の変化には差がないという結果を得た。7)扁桃核にはLewy小体の好発部位であり、それはaccessory basal & basal nucleiの内側部などに好発することが明らかになった。
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