研究課題/領域番号 |
04454309
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
波利井 清紀 東京大学, 医学部(病)形成外科, 教授 (50111539)
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研究分担者 |
伊藤 優 東京大学, 医学部(病)形成外科, 教務職員 (30240716)
吉村 浩太郎 東京大学, 医学部(病)形成外科, 教務職員 (60210762)
田幡 雅彦 東京大学, 医学部(病)形成外科, 医員 (30236723)
岩森 正男 東京大学, 医学部生化学, 助教授 (90110022)
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キーワード | 脂質 / 胎児皮膚 / コレステロール硫酸 / 創傷治癒 / コレステロールエステル |
研究概要 |
1、ヒト胎児で20週令から30週令の表皮脂質を一定重量あたり定量し、コレステロールとコレステロール硫酸およびコレステロールエステルの成分比を求めると、成人表皮と比較して、コレステロール硫酸、コレステロールエステルの比が増加していることが認められた。ヒト胎児では24週以後に急速に表皮の分化が進行すると言われているが、コレステロールの硫酸化、エステル化がこの時期に認められたことで、胎児期の表皮細胞の分化にコレステロールの代謝変化が関与していることが示唆された。 文献的には胎生19週までのデータしか報告されておらず新しい分析結果である。 2、ヒト皮膚のコレステロール硫酸の含量を表皮と真皮とで比較したところ、表皮には真皮の100倍近い濃度で存在していた。また硫酸基転移酵素活性はCytosole分画にあり、至適ph、温度、金属イオンによる阻害の程度などの性質も検討できた。 3、妊娠マウスを用いた胎児期における皮膚の硫酸基転移酵素活性を在胎日数14日、16日、出生後3日、大人のマウスで測定したところ、出産直前に急激な酵素活性の増加が認められ、出生後急激に低下する現象が明らかになった。現在光顕および電顕的にマウス皮膚の分化度とこの酵素活性の相関を検討しているところである。 4、ヒト瘢痕組織表皮の脂質分析から、瘢痕表皮にはガングリオシドが正常皮膚表皮の20倍近い高濃度で存在していることがわかり、現在モノクロナル抗体を用いてその局在を確認している所である。創傷治癒過程において、細胞の膜の構造が変化することが示唆された。
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