研究課題/領域番号 |
04454309
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
波利井 清紀 東京大学, 医学部(病), 教授 (50111539)
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研究分担者 |
菅原 康志 東京大学, 医学部(病), 医員
吉村 浩太郎 東京大学, 医学部(病), 助手 (60210762)
川嶋 孝雄 東京大学, 医学部(病), 助手 (20214637)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | ケロイド / コレステロールエステル / コレステロール硫酸 / 表皮脂質 |
研究概要 |
ヒトおよびマウスを用いて胎児期の皮膚脂質の変化を検討した。ヒトでは14週から28週までの胎生期と、新生児、成人とで比較検討したところ、10週代から20週代にかけて遊離脂肪酸、スクアレンの減少が認められ、同時にセラミド、エステルセレブロシド、コレステロール硫酸が出現していた。新生児、成人と比較するとコレステロールエステルは妊娠中期の発生段階に特有の脂質であることが明らかになった。 マウスではコレステロール硫酸に着目しその合成、分解酵素の発現時期と、表皮細胞分化の指標とされているトランスグルタミナーゼ活性を比較したところ、妊娠の後期16日付近に合成、分解両酵素のピークが認められ、特に合成酵素は著しい変動を示した。組織学的に見てみると胎生16日目には表皮は厚く4-5層の構造になり、コレステロール硫酸は表皮細胞分化の新たなマーカー酵素ある可能性が高いと思われた。 最後に創傷治癒異常の病態のひとつであるケロイドの分析では、ケロイド表皮が正常部分と比較して肥厚していることが組織学的に確認できた。脂質分析を同一の固体で行なったところ、スクワレンやトリグリセリドが正常部分と比較して有意に減少し、逆に遊離脂肪酸はケロイドで高濃度になっていることが示された。極性脂質のうちコレステロール硫酸に関しては明らかにケロイド表皮において含量が少なかった。 スクワレンやトリグリセリドの減少は皮脂腺が欠如していることを反映しているものと思われるが、皮脂腺由来の脂肪のフィルムの欠如が表皮の肥厚をもたらしている可能性については、現在までそのようなモデルや疾患は知られておらず、表皮の脂質代謝を考えるうえで新しい疾患モデルである可能性が示された。
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