研究課題/領域番号 |
04454312
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
土田 嘉昭 東京大学, 医学部(病)小児外科, 教授 (80010164)
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研究分担者 |
尾花 和子 埼玉県立小児医療センター, 外科, 医員
本名 敏郎 国立小児病院, 外科, 医長
岩中 督 東京大学, 医学部(医)小児外科, 助手 (90193755)
橋都 浩平 東京大学, 医学部(病)小児外科, 助教授 (50180815)
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キーワード | レニン / 腎腫瘍 / 抗レニンモノクローナル抗体 / ウィルムス腫瘍 / 先天性間葉芽腎腫 / 高血圧症 |
研究概要 |
1.小児腎腫瘍患児における血漿総レニン濃度の測定 計15例の小児腎腫瘍患児(ウィルムス腫瘍14例、先天性間葉芽腎腫1例)について、術前血漿を採取し、われわれが開発した総レニン測定法(抗ヒト総レニン特異モノクローナル抗体を用いたRadioimmunoassay(RIA)法)により、血漿中総レニン濃度(=活性型レニンと不活性型レニンの和)を測定した。術前検体採取はEDTA採血とし、遠沈後に上清血漿を分離し、-20℃で凍結保存した。測定時には1回測定分として解凍血漿50ulを用い、各検体について2回(duplicate)測定し、その平均値を求めた。 (1)対照群における血漿総レニン正常値域の検討 血漿総レニン濃度の正常値域を設定する目的で、小児鼠径ヘルニア患児50例の術前血漿総レニン濃度を測定した。測定値は、最小値51pg/mlから最大値320pg/ml(平均値182pg/ml)であり、統計処理により正常上限値は301pg/mlと設定された。 (2)ウィルムス腫瘍患児における血漿総レニン濃度 測定14例における総レニン濃度は、最小値231pg/mlから最大値1289pg/mlの範囲(平均値452pg/ml)を示し、正常値上限を超えるものが14例中9例をかぞえた。 (3)先天性間葉芽腎腫における術前・術後の総レニン濃度の変化 本症例は生後39日の男児で、左側腹部腫瘤を主訴に来院時に最高血圧130mmHgの高血圧を呈していた。本例の術前血漿総レニン濃度は、1458pg/mlと極めて高い値を示し、腫瘍摘出術後の総レニン濃度は130pg/mlで正常値域に復してした。 2.先天性間葉芽腎腫の免疫組織化学的研究 異常高値を示した先天性間葉芽腎腫の1例において、そのレニン産生を有する組織を組織学的に同定する目的で、凍結同組織切片(厚さ5um)と抗ヒトレニンウサギ抗血清を用いて間接酵素抗体法による組織化学染色を施行した。その結果、レニン陽性細胞は腫瘍細胞自体には一切認められず、逆に腫瘍に取り囲まれた遺残腎糸球体の傍糸球体装置の構成細胞がレニン強陽性を示した。
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