研究課題/領域番号 |
04454315
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 和彦 京都大学, 医学部, 教授 (50034640)
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研究分担者 |
吉田 久博 京都大学, 医学部, 助手 (30135587)
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キーワード | 輸血後GVHD / 重症免疫不全 / HLA型 / リンパ球 / 輸血 / マイクロサテライト遺伝子 / 多形性分析法 / 血液放射線照射 |
研究概要 |
輸血後GVHDは重症免疫不全でない患者にも発症する。その発症機構として、受血者と供血者のHLA型が特異な組み合わせであるために、受血者は供血者のリンパ球を自己と認識して拒絶しないが、逆に供血者のリンパ球は受血者の細胞を非自己と識別して障害するという仮説を提出した。日本人の輸血において受血者と供血者間で上記のHLA型の特異な組み合わせの起きる頻度は非血縁者間で約1/900、親子間で約1/100である。しかし、これに見合う数の輸血後GVHD症例は発症していないと推測される。この理由として診断されずに症例が見逃されている可能性および上記仮説が発症の必要条件ではあるが、十分条件ではない可能性がある。 動物実験で報告されている軽症輸血後GVHDの症例を見逃している可能性があるので、本年度は輸血後GVHDが疑われる軽症例について、平成4年度に開発したマイクロサテライト遺伝子の多形性分析法を用いて診断を試みた。 臨床症状が輸血後GVHDに相当するがやや軽症で、患者は死亡することなく回復した症例につき、血液、爪等を検体としてマイクロサテライト遺伝子の多形性分析を実施した。結果的には多形性は実証されず、軽症の輸血後GVHD症例の存在は確定できなかった。 最近では、大病院での血液放射線照射が普及してきたために、輸血後GVHD症例が減少して来た。京大病院では過去5年間発症していない。幸いなことであるが、研究材料が乏しくなって来た。
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