研究課題/領域番号 |
04454316
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小林 哲郎 大阪大学, 医学部, 助手 (40162002)
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研究分担者 |
西庄 勇 大阪大学, 医学部, 助教授 (10228182)
高井 新一郎 大阪大学, 医学部, 教授 (80028513)
武田 力 大阪大学, 医学部, 助手 (80236471)
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キーワード | 未分化転化 / p53 / 甲状腺未分化癌 / ヒト型モノクローナル抗体 / 培養細胞株 / 甲状腺乳頭癌 |
研究概要 |
1、geneレベルでの解析 p53のmutationについて検討した。未分化癌9症例についてDNAを抽出、PCRでこれを増幅の後、RNA protection assayを行ったところ、2例に塩基配列の異常が確認された。さらにsequencingを行い、一例はcodon165がnonsense mutationに、もう一例はcodon176がstop codonに変化していることを見いだした。一方、隣接する乳頭癌組織や小児進行分化癌組織ではp53の異常は見いだせなかった。これらの結果は、p53のmutationが分化癌から未分化癌への転化のtriggerになる可能性を示唆したものである。 2、蛋白レベルでの解析 未分化癌患者の頸頭リンパ節リンパ球から作製したヒト型モノクローナル抗体は、未分化癌細胞および組織に反応したが、さらに分化癌のうち乳頭癌にも強く反応した。未分化癌で認識される抗原が分化癌で既に存在している可能性が示唆され、この抗体は、分化癌から未分化癌への移行のメカニズムの解明に役立つと考えられた。 3、cell kineticsの検討 新しく低分化癌細胞株を樹立した。これで長崎大学より供与された分化癌細胞株を含めて未分化癌細胞株3、低分化癌細胞株1、分化癌細胞株1の細胞パネルが用意された。また、サイトカインとの関連を検討したところ、我々が樹立した未分化癌細胞株K-119は、IL-8などのサイトカインを分泌することが新たに見いだされた。この細胞パネルのうち、未分化癌、低分化癌および分化癌細胞株各1例にp53の異常発現が見られた。現在、Rb癌抑制遺伝子発現と細胞周期との関係をこれら細胞パネルを用いて比較検討している。
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