研究概要 |
平成5年度は前年度の研究の継続と、HXA内肝細胞の増殖状態も検索を行った。成熟肝細胞は腹腔内移植HXA内で長期生着は得られなかったため、胎児肝組織にを用いた実験系で検索した。胎児肝組織は移植1カ月目においても腹腔のHXA内に生着する。この肝組織は細胞障害もなく、またBrdU,PCNA単クローン抗体を用いた検索で、これら肝組織は分裂、増殖能を有することも確認された。したがって、長期の生体内培養を続けることにより、さらに大きな肝組織塊を内包したHXAが得られると考えられた。しかし肝細胞とHXA腔壁との接着性がなく、かつHXAの気孔率が低いため、相対的な肝組織量が少ない、腔径が広く、肝細胞索構造の構築が不十分であった。これら腔内に微小血管が増生してくることが理想的ではあったが、残念ながら観察されなかった。また胎児肝細胞より肝細胞のみならず、胆管細胞への分化も起こり、如何にこの胆管細胞の増生を抑えるかが今後の問題点である。また今後、類同様基質としてはたしてHXAが最適か等、これまで試みられているマイクロキャリア、コラーゲン膜等を含め再度検討すべき課題と考えられた。
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