研究概要 |
【目的】Stable Strontium(Sr)を担癌動物と正常動物に投与して腫瘍増殖抑制効果および生体の防御機能増強効果であるか否かを検討した。 【結果】(1)BALB/CマウスにColon26癌細胞を移植した実験癌性腹膜炎モデル動物にUFT,PSK.Srの単独または併用投与を行った結果、単独、併用のいずれの免疫化学療法投与群にも抗腫効果を認めた(p〈0.05)。 (2)CDF1マウスにColon26癌細胞を皮下あるいは腹腔内移植した担癌モデル動物を用いImmunosuppressive acidicprotein(IAP)の変動をみると上記いずれの薬剤併用療法でも免疫抑制が軽減された。 (3)非担癌CDF1マウスにUFTを単独投与すると加齢による自然体重増加が抑制されたが、Srの併用では抑制が起こらなかった。 (4)非担癌WKA/HKラットにUFT,PSK,Srを単独あるいは併用投与し、内分泌,免疫系パラメーターを調べ免疫化学療法の影響を検討し以下の結果を得た:(a)ACTHはUFT投与により上昇し、PSK,Srの併用で上昇抑制を示しUFT,PSK,Sr三者併用で最も上昇抑制が強かった。(b)Cortisolは、UFT投与1週後に増加し、PSKとの併用で抑制された。2週後にはUFT,PSK,Sr三者併用群でもほぼ同様に低下した。(c)IAP値はUFT投与で著明に上昇するが併用群でその増加がSr〉PSK〉Sr+PSKの順に抑制され、特にPSK群およびSr+PSK群では対照群に比べて有意差(p〈0.05)を認めた。 (5)放射線照射療法でのSrの有用性を検討する目的でWistar系ラットに放射線を照射しIAPの変動をみた結果、Sr投与群のIAP値は非投与群に比べて低値であった(p〈0.05)。 【まとめ】生体に抗癌剤を投与するとACTH、Cortisolや免疫抑制物質であるIAPが上昇する。これは生体にとって負の作用である。これに対しSrは単独あるいはPSKなどとの併用により抗癌剤の毒作用を抑制する。以上の結果を基にして、来年度もひき続きSrの生体防御面での有用性の検討を行う。
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