• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1994 年度 実績報告書

映像化を指向した消化器リンパ系の局所外科解剖学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 04454327
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

佐藤 達夫  東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (10004657)

研究分担者 坂本 裕和  東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (40225818)
佐藤 健次  東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (20107246)
キーワード気管リンパ系の上行路 / 気管傍リンパ節 / 気管気管支リンパ節 / 腕頭静脈角リンパ節 / 動脈管索リンパ節 / 右最上縦隔リンパ節 / 気管分岐部リンパ節 / 頚動脈鞘
研究概要

根治性と機能温存という相反する要請を満足させる合理的な新しい癌手術術式を開発するには、リンパ系の局所解剖学の充実化が前提となることは言うまでもない。本年は、気管及び食道が重要な位置を占める頚部および縦隔のリンパ系の解剖を行った。所見をスケッチ、写真、スライドに収めたほかに、専門のカメラマンによるビデオ撮影を行い、目的に応じて編集した。作業にあたり留意した事柄は次のようである。
1)気管リンパ系の上行路をヴィジュアル化した。上行路は左右に大別され、それぞれ浅深2系に分けられるが、右経路が主体を成していることが明確になった。以下その概略を述べる。
i)右浅経路のキ-ステーションとしてのリンパ節は腕頭静脈角リンパ節である。左右の腕頭静脈と腕頭動脈との間の三角(腕頭血管三角-仮称)に位置するリンパ節群で気管-気管支、胸骨、横隔膜の各リンパ節と連絡を持ち、ここから出たリンパ管は腕頭静脈そして右反回神経に接近し、右静脈角に達する。
ii)右深経路は右気管傍リンパ節鎖で、その最下部には右気管気管支リンパ節があり気管分岐部リンパ節や左気管気管支リンパ節からのリンパ管を受入れる最も重要なリンパ節である。最上部のリンパ節(右最上縦隔リンパ節)は鎖骨下動脈の直下に位置し、さらに動脈の後方に入り込み右反回神経に沿うリンパ節(反回神経リンパ節)鎖に連続している。ここから出たリンパ管は鎖骨下動脈または総頚動脈の後ろを通り、右静脈角に達する。
iii)左浅経路は大動脈弓リンパ節で大動脈頚動脈前リンパ節と動脈管索リンパ節(ボタロ-管リンパ節)に分けられるが、これらのリンパ節は気管ならびに左静脈角に位置的に近い。
iv)左深経路は左気管傍リンパ節鎖で、途中大動脈弓の圧迫を受けるため右側ほど発達していない。このリンパ節鎖の下端は左気管気管支リンパ節で、大動脈弓と肺動脈の隙間の奥に位置しており、で前方の動脈管索リンパ節と交通している。左気管傍リンパ節のリンパ管は一部は大動脈と交叉する手前で右側へ流れる傾向を示すが、上行しつづけたリンパ管は左上方へそれて左静脈角へ向かって走る。途中で胸管に注ぐ枝も見られる。
v)気管分岐部リンパ節は気管が左右の気管支に分岐した下角にあり、左肺からのリンパ管あるいは肺間膜リンパ節や食道からのリンパ管を右気管気管支リンパ節に中継する介在リンパ節として重要である。
2)食道固有のリンパ節は発達がさほど良くなく気管リンパ系、主としてに気管傍リンパ節や気管分岐部リンパ節に乗り移って上行する
3)頚部には総頚動脈、内頚静脈、迷走神経を包括する頚動脈鞘が存在する。気管・食道に接するリンパ節はこの鞘の内側に、また静脈角ないし付近のリンパ節は外側に存在するので、両者の連絡リンパ管は頚動脈鞘の後方を貫いて静脈角に達する。
4)以上の所見のヴィジュアル化は肺・食道癌手術術式開発大いに役立つと期待される。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 佐藤達夫: "頭頸部外科に必要な局所解剖(3) 頸部の筋膜" 耳鼻咽喉科・頭頸部外科. 65. 181-188 (1993)

  • [文献書誌] 佐藤達夫: "頭頸部外科に必要な局所解剖(10) 頸部のリンパ系" 耳鼻咽喉科・頭頸部外科. 65. 967-973 (1993)

  • [文献書誌] 佐藤達夫、坂本裕和、平馬貞明: "頭頸部外科に必要な局所解剖(13) 甲状腺(3)" 耳鼻咽喉科・頭頸部外科. 66. 286-294 (1994)

  • [文献書誌] 佐藤達夫、坂本裕和: "頭頸部外科に必要な局所解剖(17) 咽頭(4)" 耳鼻咽喉科・頭頸部外科. 66. 837-840 (1994)

  • [文献書誌] 佐藤達夫、坂本裕和: "縦隔リンパ節の解剖" Annual Review呼吸器. 188-197 (1994)

URL: 

公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi