研究課題/領域番号 |
04454333
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
塩崎 均 大阪大学, 医学部, 講師 (70144475)
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研究分担者 |
竹市 雅俊 京都大学, 理学部, 教授 (00025454)
土岐 祐一郎 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
井上 雅智 大阪大学, 医学部, 助手 (80232560)
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キーワード | 癌転移 / 細胞間接着因子 / カドヘリン / カテニン |
研究概要 |
食道癌細胞株(TE-2)よりlimitting dilutionにて樹立したE-CD(+)株とE-CD(-)株を対象として、micropore membrane(Transwell)を用い遊走能を評価した。さらにin vivoに近いモデルとして、線維芽細胞を含んだコラーゲンゲル上で腫瘍細胞を重層化させた組織様培養を行ない、浸潤能を評価した。E-CD(+)株はE-CD(-)株より細胞間接着能が強く遊走能が低かった。ヒトE-CDモノクローナル抗体(HECD-1)はE-CD(-)株には遊走能に影響を与えなかったが、E-CD(+)株に対しては接着を抑制し遊走を亢進させた。また、EGFの添加でもEGFRの発現量はほぼ同量であるのに、E-CD(-)株には遊走能に影響を与えなかったがE-CD(+)株に対しては遊走を亢進させた。コラーゲンゲルでの組織様培養ではHECD-1の添加によりE-CD(+)株の浸潤が強く誘導された。以上より2つのことが明かとなった。(1)E-CDの減弱、喪失は癌細胞の遊走能、浸潤能を亢進する。 (2)EGF刺激によってE-CDの発現量は変わらないが、細胞接着能を低下させる。さらに我々は、100kd近傍にEGF刺激によってチロシンリン酸化を受ける分子を発見しており、現在同定を進めている所である。当科で樹立した食道癌細胞株(MAG)と細胞バンクより供与を受けた胃癌細胞株(MKN-28)をヌードマウス皮下に接種した所、肺・肝に転移を認めた。 今後、これをin vivo転移モデルとして細胞間接着障害と転移の関係、及び転移臓器特異性の機構を解明したい。 我々は、分子量102kdのカドヘリン結合蛋白質(α-catenin)の精製、アミノ酸配列の決定、抗体の作成を行なった。この抗体を用いて食道癌切除標本の免疫染色を行なった所、リンパ節転移症例ではα-cateninの減弱または消失例が多数認められた。 今後、各種癌組織でも検討したい。
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