研究課題/領域番号 |
04454334
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
小越 章平 高知医科大学, 医学部, 助教授 (60009587)
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研究分担者 |
小川 恭弘 高知医科大学, 医学部, 助教授 (90152397)
土岐 泰一 高知医科大学, 医学部, 助手 (90217472)
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キーワード | 食道癌 / 高線量率腔内照射 / RALS / ヒトパピローマウイルス / HPV |
研究概要 |
食道癌は現在でも進行癌で発見されることが多く拡大手術の意味は少ない。進行食道癌の治療成績向上のために高線量率腔内照射(RALS,Remote controlled After-loading System)を子宮頚部癌と同様の組織型をもつ食道癌治療に1990年1月より手術療法と併用を始めた。 現在までに、扁平上皮癌であることを確認した胸部食道癌27例に本方法を適用した。手術は根治術16例、バイパス手術11例である。前者は術前診断で腫瘍が完全に切除可能と考えられたものとして、後者は採り残す危険のあるものや遠隔リンパ節転移が術前に診断されたものである。現在、切除症例・バイパス症例とも手術死亡はなく全員経口摂取可能となり退院させている。現在切除例は最長3年3か月であるが、3年生存率が50%であり、全国平均(25%前後)を大幅に上まわっている。また、バイパス手術例も最長2年7か月で再発の兆候が見られない症例も出ている。なお、症例を蓄積して慎重に経過を観察したい。 一方、同時に開始した食道癌病因論の研究として、子宮頚癌と同様にヒトパピローマウイルス(HPV)に着目し、ホルマリン固定標本より、In situ hybridization法により、世界で始めて40%弱という高率に16、18型のHPVの存在を証明し、また癌抑制遺伝子であるp53の過剰発現も従来の発表と同様に40%弱に検出している。従来の子宮頚癌の研究では、両者はお互い発がん因子としては別々のものとされてきたが、我々の食道癌組織における、H-rasなどの癌遺伝子や生存曲線などから、両者に密接な関係があることを示唆する成績が得られ、今後の最大の興味はその証明にあるといってよい。今後の食道癌治療の考えと方法を根本から変えるかも知れないので慎重に研究を進めていきたい。
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