研究課題/領域番号 |
04454334
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
小越 章平 高知医科大学, 医学部, 教授 (60009587)
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研究分担者 |
小川 恭弘 高知医科大学, 医学部, 助教授 (90152397)
高橋 晃 高知医科大学, 医学部, 助手 (10243825)
土岐 泰一 高知医科大学, 医学部, 助手 (90217472)
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キーワード | 食道癌 / 高線量率腔内照射 / RALS / ヒトパピローマウイルス / HPV |
研究概要 |
1990年1月より胸部食道癌に対し高線量率腔内照射(RALS)を併用した食道癌集学的治療を施行し5年が経過し、RALS併用前の治療方式に比べ臨床成績の著明な向上を認めた。対象は術前に扁平上皮癌と診断された胸部食道癌52例で、このうち切除例41例、バイパス例が11例でであった。他臓器浸潤を認める症例・遠隔転移陽性例・開胸術にたえられないpoor risk症例では根治切除は行なわずバイパス手術を選択した。治療成績は切除例で1年生存率が68.6%、5年生存率が42.6%、バイパス例で1年生存率が45.5%、4年生存率が9.1%であった。RALS併用前は切除例で切除例で1年生存率が60%、5年生存率が20%、バイパス例では1年生存率が33%、4年生存率が0%であり、特に切除例の遠隔成績では治療成績の飛躍的な向上をみている。切除例・バイパス例ともに術死はなく、術後は全例経口摂取可能となった。QOLの高い治療法として評価可能であり、胸部食道癌治療の標準術式・集学的治療として継続して経過を観察したい。 ヒトパピローマウイルス(HPV)にの食道癌発癌関与に関する研究では、前年度までにHPV16型・18型に関しては、各々約40%と高率に検出され関連性の高さが示唆されている。31、33、35型などその他のサブタイプについては現在までのところ検出率は低率である。癌抑制遺伝子であるP53の変異は40%と高率に検出され、食道癌発癌に深く関わっているものと思われた。他の癌遺伝子に関する検討では、H-ras遺伝子が43%と高頻度に検出された。またH-rasと同時にHPVまたはp53が陽性となった症例では、H-ras単独陽性群に比べ予後が悪く、HPVおよび変異p53の食道癌悪性度に対する影響が示唆された。
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