研究概要 |
癌に対する診断能力の向上やbiological behaviorの解明に伴い、癌病巣の存在様式に則った選択性の高い治療法が可能となってきた。我々は、これら選択性の高い治療法を原発性肺癌に適応し、肺癌の各種病態にあったtergeting therapyを開発することを目的として、研究を行ってきた。原発性肺癌術後補助療法の比較対照試験では、病期II以上の非小細胞癌で相対的治癒切除例および非治癒切除例にたいし、化学療法(CDDP,VDS,MMC)とInterleukin2、LAK(Lymphokine Activated Killer)cellによる養子免疫療法を組み合わせた集学的療法の効果を検討して来た。International Society of Cardio-Thoracic Surgeons(1992、July,Kumamoto)において、シンポジウム[Adjuvant chemotherapy for thoracic malignananes],日本癌治療学会総会パネルディスカッション:BRM療法において[原発性肺癌術後Adjuvant IL2,LAK療法における宿主側要因およびリンパ球側要因]として発表した。術後に何も追加治療を行わなかった対照群との比較では、免疫化学療法群の5年生存率は、42%であり、対照群のそれは20%で、有意の差で、免疫化学療法群の成績が良好であった。また、治癒切除例では、前者の5年生存率は58.3%,後者のそれは23.8%で有意差が認められ、さらに非治癒切除例でも免疫化学療法群の成績が伝照群に比べ良好な結果であった。さらに非治癒切除の各種病態にあったtergeting therapyとして、肺内転移例にはIL2,LAK細胞の経静脈全身投与、癌性胸膜炎、胸膜播種例にはポーターカット胸腔内持続注入カテーテルによる胸腔内投与、さらに縦隔リンパ節高度転移例には、経気管支鏡的投与も行い良好な結果を得ている。さらに、基礎的実験では、LAK細胞の、細胞障害活性における、LFAL,ICAM1,LFA3,CD3,CD2などの各種Adhesion molecule(接着分子)の働きについての検討を行っている。また、原発性肺癌細胞培株樹立により、血小板、白血球増多因子についての研究も行い発表した。
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