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1993 年度 実績報告書

血液接触型人工臓器における凝固線溶系および血小板機能障害に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 04454343
研究機関三重大学

研究代表者

田中 國義  三重大学, 医学部, 助手 (70144251)

キーワード体外循環 / 凝固線溶系 / 血小板膜糖蛋白 / 活性化血小板 / GPIb / GPIIb / IIIa / GMP-140 / Nafamostat Mesilate
研究概要

体外循環施行時における凝固線溶系および血小板の活性化および機能異常の発現する機序を解明する目的で成人開心術症例を対象に研究を進めた。
1.体外循環開始後thrombin-antithrombin III complex(TAT)およびfibrino-peptide A(FPA)などの凝固系分子マーカーならびにα2PI-plasmin complex(PIC),FDP D-dimerなど線溶系分子マーカーの上昇が認められ、体外循環による凝固線溶系に対する活性化が確認された。
2.体外循環により血小板数の有意の低下とともに、洗浄血小板にて測定したristocetin凝集も著明な低下を示した。
3.体外循環に伴う血小板表面の各種膜糖蛋白の変化をそれぞれに対するモノクロナール抗体をもちいて測定した結果、活性化依存性に血小板表面に出現するα顆粒膜糖蛋白granule membrane protein 140(GMP-140)の増加と共に、粘着レセプターglycoprotein Ib(GPIb)の減少が確認された。
4.以上より体外循環にともなう止血機能の異常は線溶亢進、活性化血小板の網内系による処理、血小板粘着能の障害が原因と考えられた。
5.体外循環に起因するこれらの凝固線溶系の活性化や血小板機能障害を防止する目的で、蛋白分解酵素阻害薬Nafamostat mesilateを2mg/kg/hrの速度で体外循環中に投与して、その効果を検討したところ術後出血量は40%節減された。血中濃度は4500ng/ml以上が得られており、凝固線溶系に対してはプラスミン生成の抑制、血小板に対してはGPIb減少の抑制などの効果が確認された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Kuniyoshi Tanaka: "Effects of Nafamostat Mesilate on Platelets and Coagulofibrinolysis During Cardiopulmonary Bypass Surgery" Trans Am Soc Artif Intern Organs. 39. M545-M549 (1993)

  • [文献書誌] Chiaki Kondo: "Platelet Dysfunction During Cardiopulmonary Bypass Surgery with Special Reference to Platelet Membrane Glycoproteins" Trans Am Soc Artif Intern Organs. 39. M550-M553 (1993)

  • [文献書誌] 近藤智昭: "体外循環下開心術における活性化血小板の変動とその意義-抗GMP-140抗体2T60を用いたflow cytometryによる解析-" 日本血栓止血誌. 4. 100-107 (1993)

  • [文献書誌] 近藤智昭: "体外循環下開心術における血小板膜糖蛋白及び活性化血小板に関する研究" 三重医学. 37. 91-100 (1993)

  • [文献書誌] Kuniyoshi Tanaka: "Hematological problems during the use of Cardiuc Assist Devices:Clinical experiences in Japan" Artificial Organs. 16. 182-188 (1992)

  • [文献書誌] 田中國義: "体外循環下開心術におけるフサン投与の止血学的効果" 新薬と臨床. 29. 175-176 (1992)

  • [文献書誌] Kuniyoshi Tanaka: "Artificial Heart" W.B.Saunders Company, 4 (1992)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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