研究分担者 |
増澤 徹 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (40199691)
巽 英介 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (00216996)
中谷 武嗣 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 室長 (60155752)
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00142183)
高野 久揮 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (60028595)
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研究概要 |
本研究では,血液の駆出とガス交換の同時施行を可能とする新たな緊急用心肺補助装置の開発を目標としている.開発対象としたのは,人工肺を内蔵した遠心ポンプで,本年度は,1)システムの設計,2)ミニチュアモデルの試作,3)試作器を用いての基礎的性能評価を行った.1)システム設計:開発したシステムは,ハウジング内にガス交換用の中空糸を組み込んだインペラタイプの遠心ポンプである.外観は,通常の遠心ポンプと変わらない.内部構造は,インペラとハウジングとの間に大きいギャップ(約15mm)を有することを特徴とし,ここにインペラを取り囲むように中空糸が充填されている.インペラはマグネットロータ上に固定されており,マグネットカップリングにて外付けモータより回転力を受ける.血液は,インペラの発生する遠心力にて各中空糸に均等に振り分けられ,ガス交換されると同時に吐出圧を得る.2)ミニチュアモデルの試作:今回は,φ8cmX6cm,膜面積0.15m^2,充填量50mlの超小型テストデバイスを作製し,性能評価に供した.3)基礎的性能評価:上述の試作器を用いて,模擬循環回路の水試験にてポンプ特性の評価を,雑種成犬(14kg)を用いた頚動静脈間のV-Aバイパスにてガス交換能の評価を行った.模擬循環回路で検討した試作器のポンプ特性は,インペラの回転数に伴って向上し、最大回転数3250rpm,無負荷状態にて6.5L/min,揚程100mmHgにて4L/minポンプ吐出水量が得られた.雑種成犬を用いたV-Aバイパスでは,最大1.5L/minのバイパス流量が得られ,この時の人工肺部でのガス移動量は,酸素で40ml/min,炭酸ガスで30ml/minであった.以上のミニチュアモデルでの評価結果は,設計上の予測性能と良く合致し,本研究の開発コンセプトが妥当性を有するものであることが確認できた.今後,臨床使用を念頭においたシステムの試作・評価を行う予定である.
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