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1992 年度 実績報告書

悪性脳腫瘍に対する細胞工学的手法を用いた新しい免疫療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 04454356
研究機関新潟大学

研究代表者

吉田 誠一  新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (50174933)

研究分担者 田村 哲郎  新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (40221402)
田中 隆一  新潟大学, 脳研究所, 教授 (30018816)
キーワード悪性グリオーマ / T細胞レセプター / LAK療法 / サイトカイン産生能 / ICAM-1
研究概要

悪性グリオーマ患者リンパ球のT細胞レセプター(TCR)に関する研究目的でTCR Vβ領域に対するプライマーを用いてPCRを行い,TCR Vβファミリーのclonalityの変化を初回治療時と再発時とで比較検討した結果,未梢血リンパ球においては,ほぼ一様に検出可能であり治療に伴う明らかな変動も認めず,病変局所のリンパ球においても,一般に,そのシグナルは弱いものの,末梢血リンパ球におけるとほぼ同様のパターンを示し,TCR Vβファミリーの特定の偏りは認めなかった。但し,LAK療法を施行後,自己腫瘍細胞に対する細胞障害活性の増強を認めた症例において,治療後のVβ7のシグナル増強を認め,特定のクローンがpositive selectionを受けているものと考えられた。更に,LAK療法施行後に再発をきたしたグリオーマ組織内に浸潤したリンパ球のTCR Vβファミリーの偏りも一部の症例で認め,そのようなリンパ球の自己腫瘍細胞に対する細胞障害活性の増強を認め,抗腫瘍活性を持つエフェクター細胞活性化の機序を考える上で重要なものと思われた。一方,グリオーマ細胞のサイトカイン産生能と接着分子の発現性についての解析では,8種のグリオーマ細胞株でIL-6,IL-8の産生を認め,IL-1β刺激で約100倍に,放射線照射で約3〜10倍に増強された。又,全例IL-6,IL-8の恒常的な遺伝子発現が認められ,IL-1β刺激,放射線照射で発現が亢進した。組織ではIL-6とIL-8は4例に,IL-6receptorは全例に遺伝子発現を認めた。NCAM,ICAM-1は3種の細胞株で発現を認め,IFNγ刺激と放射線照射により2例に新たな発現を認め,組織ではNCAMは11例,ICAMは6例に陽性であり,ICAM-1の発現と浸潤リンパ球数との間には相関関係を認め,グリオーマ細胞と免疫担当細胞との間に何らかの相互作用があるものと考えられた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 吉田 誠一: "LAK療法を中心とした免疫療法の現状" 脳神経外科ジャーナル. 2. 110-115 (1992)

  • [文献書誌] 吉田 誠一: "悪性グリオーマ患者リンパ球の細胞傷害能とT細胞レセプターレパトアの養子免疫療法に伴う変動" 日本免疫学会抄録集. 22. 296- (1992)

  • [文献書誌] S.Yoshida: "Overexpression of multiple oncogenes related to histological grade of astrocytic glioma" Br.J.Cancer. 66. 106-112 (1992)

  • [文献書誌] R.Yamanaka: "Effects of ACNU and Cranial Irradiation on the Mouse Immune System" Neurologia medico-chirrurgica. 33. 65-70 (1993)

  • [文献書誌] 森 宏: "悪性脳腫瘍患者末梢リンパ球サブセット動態におよぼす集学的治療の効果" 新潟医学会雑誌. 106. 536-542 (1992)

  • [文献書誌] S.Yoshida: "Expression of MHC classII antigens on human glioma cells modulated by transfection with genes encoding these antigens" Neurologia medico-chirrurgica. 31. 623-628 (1991)

  • [文献書誌] 吉田 誠一: "脳腫瘍の免疫と分子生物学" 金芳堂, 8 (1992)

  • [文献書誌] S.Yoshida: "Biological Aspects of Brain Tumors" Springer-Verlag, 5 (1991)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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