研究概要 |
脳動静脈寄形の塞栓材料としてオイドラギッドEを開発している。オイドラギッドEは、薬剤のcoatingあるいはmasking剤として、医薬品添加物として認められ、市販されているポリマーである(参考文献7,8)。ポリマーの構造式は図示した。ポリマーは室温下でエタノール濃度が50%以上の溶液に溶解するが、水には不溶である。血液内で凝集する機序は、溶媒であるエタノールが拡散し、溶液のエタノール濃度が低下することにより、ポリマーが析出する。析出したポリマーが血管を閉塞する。造影性をもたせるために、非イオン性液体造影剤イオパミロン370を溶媒に混合した。溶液の濃度、密度と粘性は次のようであった。30℃下で濃度5g/dl,密度1。12g/cm^3,粘度13。01cPであり、濃度10g/dl,密度1。14g/cm^3、粘度24。22cPであった。濃度15g/dlでは相分離をきたし粘度は測定できなかった。凝集性はポリマー濃度に依存しており、塞栓物質としては、5-15%が適当であった。凝集は血液との接触2秒後より開始し、5秒後には完了した。析出したポリマーは柔軟で手術用はさみで容易に切断が可能であった。 ラット腎動脈内に注入し、42頭で組織反応を調べた。また雑種成犬4頭で注入試験を行い、組織反応が少なく、また注入しやすいので臨床応用が可能と考えられた。
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