研究概要 |
1)グリオーマと髄芽腫に共有する抗原に対するマウスモノクローナル抗体(ONS-M21)の作製(Br J Cancer 68:831-837,1993)に成功したあと、中外製薬(株)との共同研究の下で、この抗体のヒト型化(Mol Immunol,in press)や単鎖抗体の開発にも成功している。現在、このヒト型化抗体や単鎖抗体を用いて、画像診断上における腫瘍部位の正確な診断を行うと共に、抗体単独、あるいはRIや毒素をラベルした抗体による免疫療法の可能性を検討している。また、マウスモノクローナル抗体で認識され悪性グリオーマ関連抗原の抽出に関する研究は最終段階に入っており、その遺伝子配列の同定や抗原発現メカニズムを今後解明していく予定である。 2)悪性グリオーマに対する遺伝子治療に関連する研究は、岡崎国立共同研究機構・生理学研究所の池中一裕教授と共同研究している。レトロウイルスベクターを用いて、マーカー遺伝子をマウスグリオーマ細胞へ導入(Jpn J Cancer Res 83:1244-1247,1992:J Neurosci Res 38:415-423,1994)したり脳特異的遺伝子関連プロモーターを組み込んだベクターを用いたin vitro治療実験(J Neurosci Res 36:472-479,1993)を下に、マウスグリオーマモデルに対するin vivo遺伝子治療実験を繰り返している。現在、マウス脳内に移植したグリオーマ細胞の約25%にHTK遺伝子を導入できれば、GCVの腹腔内投与にて前例治癒する事を確認している。 今後、我々の計画通りに悪性グリオーマ関連抗原が抽出できれば、その発現を制御するプロモーターを解析し、現在着手している組織特異性を有する遺伝子治療に応用する予定である。
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