MRI時代におけるてんかん外科確立のための臨床的ならびに実験的研究

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04454361
• 研究機関: 島根医科大学
• 研究代表者: 森竹 浩三 島根医科大学, 医学部, 教授 (90093327)
• 研究分担者: 伊藤 正利 島根医科大学, 医学部, 助教授 (90135567)
• キーワード: てんかん / MRI / 焦点切除術 / てんかんモデル / SPECT / レーザドプラ / 神経細胞亢奮性

研究概要

1.動物実験
1)てんかんモデル動物の作成:ラットと猫の大脳内各部にカイニン酸を注入し、側頭葉内側部を中心とした大辺縁系注入動物で慢性てんかんが比較的高率に発生させることができることを確かめた。
2)てんかん動物の病態生理学的観察:上記てんかんモデル動物を覚醒状態でその行動のビデオモニタにより観察し、同時に行った頭蓋内電極による連続脳波記録の結果と対比し、てんかん発作であることを確かめた。
2.臨床研究
1)難治性てんかん例のMRI所見:手術適応に関し紹介された難治性てんかん患者74例中52例でMRI上局所異常が見いだされた。その多くはT2強調像で高信号域として描出された。
2)上記52例について、MRIを軸としたてんかん原検索のための非侵襲的プロトコールに従って術前検索を行ったところ、48例でこれらの病変がてんかん原であることが示唆された。
3)このうちてんかん焦点切除術を38例に、また脳梁切截術を6例に行い、約60%の患者で発作の消失を、また約30%で明かな改善を得ている。
4)術前の発作間欠期のSPECTでは焦点部位は低潅流域を示し、術中のレーザドプラ血流計測結果も同様の結果が得られた。
5)切除焦点細胞の電気生理学的ならびに薬理学的検索:焦点細胞では自発発火はなく、記録細胞近傍の刺激により、脱分極シフトを伴う頻回発射が得られた。

研究成果

• [文献書誌] 森竹 浩三: "外傷性てんかん" Brain Nursing. 8. 665-670 (1992)
• [文献書誌] 森竹 浩三: "MRI(磁気共鳴画像)時代のてんかん外科" 毎日ライフ. 2月号. 104-106 (1992)
• [文献書誌] 森竹 浩三: "てんかん外科における最近の動向" 島根医学. 12. 5-11 (1992)
• [文献書誌] Mutoh K: "Excervation of pentyleneterazole-induced convulsion of mice by DN-1417,a TRH analog" Neurosciences.
• [文献書誌] 武藤 庫参: "EIマウスの深部脳波の検討" Neurosciences. 18(補冊). 135-138 (1992)
• [文献書誌] Itoh M: "Role of noradrenergic system in the seizures of E1 mice" Neurosciences.
• [文献書誌] Takaya M: "Recent Advances in Neurosonology,ed.by Oka M,et al." Excerpta Medica, 5 (1992)
• [文献書誌] 森竹 浩三著,朝倉 哲彦 監修,朝倉 哲彦・菊池 晴彦・森竹 浩三 編,: "てんかんの最新外科治療" 医学書院, 30