研究概要 |
外傷性てんかん焦点の形成には脳組織内に赤血球より遊離放出されたヘモグロビンと,続いて遊離する鉄イオンが深く係わっており、鉄イオンを介する活性酸素種とくにヒドロキシルラジカル(・OH)の過剰生成による神経細胞傷害が重要な役割を演じていることをこれまでに明らかにしてきた.本年度の研究実績の概要は次のごとくである. 1.正常脳組織は0^-_2や・OHなどのフリーラジカルに対して強い防御力をもっている.そのうちスーパーオキシド・ジスムターゼなどの酵素による防御作用はO^-_2に対しては20-40%,・OHに対しては10-20%で,残りは低分子の抗酸化物質によるものである.しかし,何等かの原因により細胞変性がおこればフリーラジカル消去能は低下し,フリーラジカル傷害が発症すると考えられる. 2.ラットの循環血流中のアスコルビン酸ラジカルのESRシグナルを指標として,遷移金属のフリーラジカル発生促進作用を調べると,Co^<2+>はFe^<3+>より強い作用があり,コバルト誘導てんかん焦点形成機構にフリーラジカル反応が関与することが示唆された. 3.鉄イオン誘導てんかん発作は茶葉成分のエピガロカテキン(EGC)とその誘導体によって抑制されること,及びこれらのカテキン類はカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ活性を抑制することをすでに明らかにしたが,さらに鉄イオンは線条体でドーパミンの代謝産物であるDOPACやHVAを増加させること(ドーパミンニューロンの活性化)を脳内微少透析法により観察し,EGCやその誘導体がこれらの増加を抑制することを見いだした. 4.鉄イオン誘導てんかん焦点形成に伴う一酸化窒素(NO)の変化を検討するための予備実験としてフローインジェクション分析法により脳内諸部位のNOをNO_3として定量化することに成功した.
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