研究課題/領域番号 |
04454370
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
北原 宏 千葉大学, 医学部, 助教授 (30114268)
|
研究分担者 |
後藤 澄雄 千葉大学, 医学部, 講師 (10143273)
南 昌平 千葉大学, 医学部, 講師 (20166086)
|
キーワード | 側弯症 / 脊髄空洞症 / 硬組織多重ラベリング / 動物実験モデル / カオリン水頭症 |
研究概要 |
[目的]特発性側弯症の中に脊髄空洞症を伴った側弯症が数多く存在することが臨床的に明らかになりつつあるが、両者の関連については未だ不明な点が多い。本研究では脊髄空洞症動物モデルを作製し、脊柱側弯変形の発生の関し、その病態を画像学的、硬組織学的手法により明らかにすることを目的とし行った。 [方法]生後2ヵ月のビーグル犬10匹を用い、後頭下くも膜下腔にカオリン(含水ケイ酸アルミニウム)を注入し、それにより生じる癒着性くも膜炎により水頭症及び脊髄空洞症モデルを作製した。その過程において、カオリン注入後より経時的にMRIにて脳脊髄の形態を観察し、また脊柱側弯変形の発生および進行についてはX線的に評価し、カオリン注入後、8、10、12、16、20,24週後に各々屠殺した。この間に硬組織多重ラベリング法を施し、屠殺後脊椎の非脱灰標本を作製の上、硬組織学的な検討を行った。 [結果]MRI上、脳室の拡大は10匹、脊髄空洞の形成は6匹に認められ、これらの変化はカオリン注入後4〜6週でみられた。またX線上脊柱の側弯変形を認めたのは3匹で、変形はカオリン注入後8週以降よりみられた。側弯はいずれも頸胸椎部でみられ、Cobb角は最大で66°(C2〜6)であった。硬組織多重ラベリング法による検討では、カオリン注入後8〜12週では脊椎椎骨の量的発育が著しく、その後は発育後が除々に減少することを示していた。また側弯変形のある頂椎部の椎骨ではカーブ凸側で骨吸収、凹側で骨形成の像を示し、側弯カーブを矯正する方向への骨のリモデリングが観察された。 [今後の展開]カオリン脊髄空洞症モデルが出来、脊髄空洞の形成に引き続いて脊柱側弯変形の発現することが確認された。 これは側弯症を主とした脊柱変形の病態の解明に貴重な実験モデルになり得るものであり、骨改変、変形発生メカニズムにつき病理学的、硬組織学的に引き続き詳細に検討を加える。
|