研究概要 |
OPLL患者(発端者)14名,鹿児島在住の健常者50名を対象としてDNA解析を行いOPLL病因遺伝子の検討を行った。制限酵素はApaI,BglII,BamHI,EcoRI,HindIII,MspI,NcoI,PstI,PvuII,RsaI,SacI,StuI,TaqI,XbaIの合計14種類使用した。今回,解析を行った遺伝子は骨代謝マーカーとされるアルカリフォスファターゼ(ALP),骨化を単独に誘導されることが組織学的に証明されており,OPLL発症と深く関与していると報告されているBMP-2,強直性脊椎炎などの炎症性脊椎靱帯骨化に深く関与すると考えられているTNF-alpha,また軟骨内骨化に重要な役割をもつとされる,Colllalpha2の4種類である。 [結果]ALPには遺伝子多型は存在せずTNF-alphaはNcoIのみ多型が存在した。しかしこれらのDNAバンドはOPLL患者とは相関しなかった。新たに遺伝子多型をBMP-2,Colllalpha2に見出すことができた。BMP-2ではMspI,TaqIでその多型が見出され,Colll2では多型が存在することが報告されていたBamHI,EcoRI,StuIに加えて今回新たにHindIII,MspI,PvuII,SacI,TaqI,XbaIで多型が見出された。これらの各々の多型についても有意差検定を行ったがOPLL患者に特異的なDNAバンドは認められなかった。これまで脊柱靱帯骨化症調査研究班班会議においてBMP-2とOPLL発症との関与が数多く報告されてきた。また,OPLL患者の靱帯培養細胞は対象群の培養細胞と比較してTNF-alphaタンパクに対する反応の相違があることやALP抗体染色によりOPLL患者由来の靱帯培養細胞が有意に強く染色されたりすることが報告されている。これらの研究結果はOPLL遺伝子の異常に基づく二次元作用によりもたらされた結果と解釈される。今回は直接OPLLの病因遺伝子を見出すには至らなかったが,今後の研究方針に示唆を与える重要な結果であると考える。
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