研究課題/領域番号 |
04454384
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
釘宮 豊城 東京大学, 医学部(分), 助教授 (90010537)
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研究分担者 |
緒方 昭広 筑波大学, 附属盲学校, 教官
梅山 孝江 東京大学, 医学部(分), 助手 (50184073)
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キーワード | 局所連続発汗記録装置 / 発汗波 / 交感神経節ブロック / 鍼 |
研究概要 |
1)我々は今までに、恒温恒湿(40℃、40%)において、左右前額・上腕・大腿に局所連続発汗記録装置(ハイドログラフ)を装着し、星状神経節ブロック後の発汗機能の様子を検討してきた。ハイドログラフは局所の発汗の連続定量的測定が可能なばかりでなく、発汗波を観察する事により発汗機能の性状を知る事ができる。ブロック側の前額・上腕部においては言うまでもなく発汗の低下がみられたが、ブロック側大腿部にも、前額・上腕ほどではないが発汗の低下がみられた。星状神経節ブロックが神経の支配領域のみならず、体温調節中枢のある視床下部にわずかながらでも影響を与える事により、星状神経節の支配領域以外の大腿部の発汗機能に影響を与えた可能性がある。星状神経節ブロックが視床下部に影響を持つと考える根拠は、我々の今までの研究により視床下部温を反映するとされている鼓膜温の同ブロックによる変化である。今後症例を重ねて行き、星状神経節ブロックの星状神経節の直接支配領域以外における影響、効果を発汗機能の変化により追求して行く。 2)多汗症患者に対してペインクリニック領域では神経破壊薬により、交感神経節ブロック治療が行われている。我々は局所連続発汗記録装置(ハイドログラフ)を用いることで定量的に発汗量を連続測定しつつ、神経破壊薬による交感神経節ブロックを施行することにより、神経破壊薬使用時の副作用を減少せしめた。さらに我々は、ブロック1週間後、6ヶ月後、1年後とブロック効果の有効期間を観察するため、発汗量及び発汗波の観察を行った。我々は、温熱性発汗波と精神性発汗波が同期しない例の神経破壊薬の交感神経節ブロックの神経の修復途中で両発汗波の同期するのが観察され、再びブロック効果が消失する頃同期性がみられなくなったことを観察している。このことは発汗神経の中枢機構の可塑性を物語っているものと考えられる。よって本研究は交感神経節ブロック後発汗量及び発汗波を観察することにより副作用のない正確な永久ブロックの指標となるばかりでなく発汗波の性状をみることで神経の修復過程を追求していく。 3)局所連続発汗記録装置(ハイドログラフ)を用い手掌部の発汗量を測定し鍼刺激による発汗抑制機序、及び発汗機構への影響について検討していく。また鍼刺激部位・方法の違いによる発汗への影響についても検討する。 局所連続発汗記録装置(ハイドログラフ)は平成5年2月に購入されたばかりのため、まだ正確な結論は出ていないが、この実験を来年度も続けていく予定である。
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