研究概要 |
1.血中麻酔薬濃度超短時間定量システムの開発 (1)高速液体クロマトグラフを用いた血中ミダゾラム濃度定量条件の検討 紫外線吸収検出器を用いてミダゾラムの吸収スペクトラムを測定したところ,波長220nmの紫外線が測定に最適であった。分離カラムは逆相カラムとし,移動相は20%アセトニトリルが適当であった。この方法でのミダゾラム濃度の測定限界は50ng/ml程度であった。 (2)前処理方法の検討 マイクロフィルタ,プレカラム等を方法を候補として検討した。血漿をマイクロフィルタで除蛋白すると,その濾液より蛋白非結合型のミダゾラムの血漿濃度を得ることができるが,ミダゾラムは蛋白結合率が極めて高率であった。血液はマイクロフィルタで濾過不能であった。血液に2倍量のアセトニトリルを添加し,1分間遠心後その上澄を高速液体クロマトグラフに注入する方法がもっとも短時間で再現性の良いことが明らかになった。血液濃度は,血漿濃度の約90%でほぼ一定であり,両者は強い相関関係を示したので,血漿濃度の推定も可能であった。本システムでは,採血から血中ミダゾラム濃度定量まで15分間が必要であった。 2.血中および脳麻酔薬濃度シミュレーションシステムの開発 3コンパートメントモデルをマイクロコンピュータ上に構築し,身長,体重,投与薬物量をもとに血中,脳内ミダゾラム濃度を計算することを可能とした。計算より求めた血中濃度を高速液体クロマトグラフィで実測した濃度で校正することによって,より正確なシミュレーションを可能とした。 本システムは,ミダゾラム以外のさまざまな静脈麻酔薬の血中濃度シミュレーションに応用することができ,現在他の鎮静薬,鎮痛薬に関する測定システムを開発中である。
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