研究概要 |
1.血中および効果器における薬物濃度シミュレーションシステムの開発 鎮痛薬,催眠薬,筋弛緩薬のそれぞれの効果器における濃度をシミュレーションより求めるシステムを開発しマイクロコンピュータに搭載した。演算方式はオイラー法と厳密解法を選択可能としたが,オイラー法が演算時間が短く精度も臨床には十分であった。対象とした薬剤を列挙する,鎮痛薬:フェンタニル,アルフェンタニル,ペンタゾシン,催眠薬:ミダゾラム,プロポフォール,チオペンタール,筋弛緩薬:ベクロニウム,パンクロニウム。 2.注入ポンプ制御システムの開発 1台のマイクロコンピュータによって同時に3台のシリンジポンプを駆動し,3種類の薬物についてそれぞれ任意の血中濃度または効果器濃度に達成させることができるシステムを開発した。マイクロコンピュータにはエプソン社製(PC-486GR),シリンジポンプにはアトム社製(1235)を用いた。3種類の薬剤についてそれぞれの目標血中濃度または効果器濃度を入力すると,前述の薬物濃度シミュレーションシステムを使用して注入速度を算出し,すみやかに目標濃度に達するようにポンプが駆動される。この時,最大注入速度はポンプの規格により199.9ml/時に制限される。システムの作動中は常に,演算より求めた現在および未来の血中濃度,効果器濃度が表示されるとともに,薬物濃度が目標値に到達するまでの時間が表示されるようにした。さらに筋弛緩薬に関しては,神経筋接合部モニタ(Relaxograph)で筋弛緩薬の効果を定量し,任意の筋弛緩効果を維持するよう投与速度をクローズドループコントロールできるようにした。
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