研究課題/領域番号 |
04454392
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
安藤 冨男 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00193110)
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研究分担者 |
滝田 真司 横浜市立大学, 医学部, 助手 (70236389)
奥村 福一郎 横浜市立大学, 医学部, 教授 (50028487)
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キーワード | 蛍光眼底造影 / 網膜循環 / 心大血管外科手術 / 脳神経障害 / 微小塞栓 / 空気塞栓 |
研究概要 |
開心術に伴う脳障害の原因の中で、空気や血栓による塞栓症は重要な位置を占めると考えられているが、その術中モニターに関しては未だ適当なものはない。冠動脈再建術症例で人工心肺中に蛍光眼底造影を行うと、網膜細動脈の閉塞像が見られるとの報告があるが、これがmicrobubbleによるものか、どの程度の塞栓症によるものか明らかではない。本年度の研究では、脳空気塞栓症の蛍光眼底所見を検討するために、反復造影に適した方法や本法の空気塞栓検出の感度を実験的に検討した。 雑種成犬を対象とし、蛍光剤および空気注入用のカテーテルを舌動脈から逆行性に右総頸動脈に留置した。はじめに、蛍光剤としてFluorescein isothiocyanate dextran(FID)を用い、造影条件を検討した。次に、空気を0.01から0.06mlまでbolusで注入し、空気注入直後、1、2、3分後に造影を繰り返した。 2%FID%溶液1.5mlの動注により、蛍光剤の漏出や血管内への残存に妨げられずに繰り返し造影が可能であった。0.1ml以下の空気注入では網膜動脈の閉塞像は全く認められなかったが、9頭中5頭では0.2ml以下で直後の造影時に閉塞像が見られた。0.5ml以下で、9頭中7頭に同様の所見を認めたが、残りの2頭では0.6mlまで注入しても明らかな閉塞像を認めなかった。再造影については、全例で1分後には再開通が認められた。 以上より、蛍光眼底造影を反復して網膜循環を観察する実験系を作成した。蛍光眼底造影法の空気塞栓の検出限界については、眼底の一部しか観察していないことを考慮すると、総頸動脈への注入では0.2ml程度と考えられるが、この量の臨床的意義についてはさらに検討が必要と思われる。網膜動脈の閉塞は、本研究のような高血圧時には1分以内であったが、低血圧時についても検討が必要である。
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