研究課題/領域番号 |
04454397
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
高折 益彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30068978)
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研究分担者 |
福井 明 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50189924)
藤田 喜久 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (10144263)
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キーワード | 呼気終末陽圧呼吸 / 臓器血液量 / 赤血球分布 / 胸腔内圧 / 連続的血液量測定 |
研究概要 |
研究には全身麻酔、調節呼吸された10頭のビーグル犬を使用した。各臓器血液量、循環血液量はVALMET社製脳局所血流測定装置BI1400の検出器を頭部(脳を中心に)、胸部(心、肺を中心に)、肝部、脾部、下腹部(骨盤内臓器を中心に)、右大腿部骨格筋部、固定容量の内頚静脈にそれぞれ可及的に接近させて固定、^<99m>Tcで標識した赤血球を静脈内へ注入、上記各部位の放射能値の変化から求めた。PEEPはpressure threshold方式で、0、5、10、15、20cmH_20(P_0、P_5、P_<10>、P_<15>、P_<20>)の5種類を負荷した。無作為に選択した順番で上記5種類のPEEPをそれぞれ30分間ずつ負荷した。各部位の血液量と循環血液量はP_0を100として、各PEEP値、ならびにPEEP解除30分後(Post‐P)の値をP_0値の百分率で表した。 PEEP値の増加に伴い平均肺動脈圧、食道内圧はP_5から、右心房、門脈股静脈の各圧はP_<10>から、腹腔内圧はP_<15>からそれぞれ上昇した。平均動脈圧、心拍出量はP_<10>から減少し、心拍数は終始変化しなかった。そして平均動脈、食道内、腹腔内の各圧を除いてPost‐Pまで持続した。循環血液量はP_<15>から90.86%と減少し、Post‐Pで94%となった。胸部血液量はP_<10>で84%に、P_<20>で74%になった。これに反して頭部ではP_5で109%まで増加し以後変化なく、Post‐Pにおいても105%であった。肝部はP_5から増加しP_<20>で133%に達し、Post‐Pにおいても113%のままであった。脾部、下腹部、大腿部は最高で110%に増加し、Post‐Pにおいても105%のままであった。すなわち、PEEPはその圧が上昇する平行して胸腔内血液量の減少を来し、一般に他臓器の血液量を増加させ、それがPEEP解除後も持続することを認めた。しかし脳では5cmH_2Oで血液量が最高に達し、他の臓器血液量の増加とともに減少した。またPEEPに伴う血漿の血管外移行は著明でなく、むしろ赤血球が末梢血管内に補足されることが示唆された。
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